中国の横暴に甘い対応しかとらなかった日米欧
G7は保護主義中国に対して結束せよ
2018.10.09
(www.sankei.com/premium/news/180609/prm1806090012-n1.html )
WTOの貿易紛争で国・地域別被告件数(1995年~2017年)
今月8日から2日間、カナダで先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)が開かれる。
鉄鋼・アルミなどの輸入制限を発動した米国に対して欧州が強く反発し、トランプ米大統領が孤立する情勢だが、仲間割れする場合ではない。(夕刊フジ)
正論は麻生太郎財務相の発言だ。
麻生氏は先に開かれたG7財務相会議後の会見で、
中国を名指しに「ルールを無視していろいろやっている」と批判、
G7は協調して中国に対し国際ルールを守るよう促す必要があると指摘した上で、
世界貿易機関(WTO)に違反するような米輸入制限は
・G7の団結を損ない、
・ルールを軽視する中国に有利に働く
と説明した。
WTOについて自由貿易ルールの総本山と期待するのはかなり無理がある。
麻生氏に限らず、
経済産業省も外務省もWTO重視で、
世耕弘成経済産業相も、
米鉄鋼輸入制限をめぐるWTOへの提訴について「あらゆる可能性に備えて事務的作業を進めている」と述べているが、
WTOに訴えると自由貿易体制が守られるとは甘すぎる。
グラフは、WTOの貿易紛争処理パネルに提訴された国・地域別件数である。
圧倒的に多いのは米国で、中国は米国の3分の1以下に過ぎない。
提訴がルール違反容疑の目安とすれば、
米国が「保護貿易国」であり、
中国は「自由貿易国」だという、
とんでもないレッテルが貼られかねない。
事実、習近平国家主席は
・スイスの国際経済フォーラム(ダボス会議)や
・20カ国・地域(G20)首脳会議などの国際会議で
臆面もなく自由貿易の旗手のごとく振る舞っている。
実際には中国は「自由貿易ルール違反のデパート」である。
知的財産権侵害は
・商品や商標の海賊版、
・不法コピーから
・ハイテクの盗用まで
数えればきりがない。
おまけに、中国に進出する外国企業には技術移転を強要し、ハイテク製品の機密をこじ開ける。
共産党が支配する政府組織、金融機関総ぐるみで
WTOで禁じている補助金を国有企業などに配分し、
半導体、情報技術(IT)などを開発する。
習政権が2049年までに「世界の製造大国」としての地位を築くことを目標に掲げている「中国製造2025(メイド・イン・チャイナ2025)」は半導体などへの巨額の補助金プログラムだらけだ。
一連の中国の横暴に対し、
日米欧は
とにかく甘い対応しかとらなかった。
理由は、中国市場でのシェア欲しさによる。
「中国製造2025」にしても、
中国による半導体の国産化プロジェクトは
巨大な半導体製造設備需要が生じると期待し、
商機をつかもうと対中協力する西側企業が多い。
ハイテク覇権をめざす習政権の野望を
強く警戒するトランプ政権の強硬策は
中国の脅威にさらされる日本にとっても大いに意味がある。
G7サミットでは、
日米が足並みをそろえて、欧州を説得し
対中国で結束を図るべきだ。
米国と対立して、
保護主義中国に漁夫の利を提供するのは
ばかげている。(産経新聞特別記者・田村秀男)
G7は保護主義中国に対して結束せよ
2018.10.09
(www.sankei.com/premium/news/180609/prm1806090012-n1.html )
WTOの貿易紛争で国・地域別被告件数(1995年~2017年)
今月8日から2日間、カナダで先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)が開かれる。
鉄鋼・アルミなどの輸入制限を発動した米国に対して欧州が強く反発し、トランプ米大統領が孤立する情勢だが、仲間割れする場合ではない。(夕刊フジ)
正論は麻生太郎財務相の発言だ。
麻生氏は先に開かれたG7財務相会議後の会見で、
中国を名指しに「ルールを無視していろいろやっている」と批判、
G7は協調して中国に対し国際ルールを守るよう促す必要があると指摘した上で、
世界貿易機関(WTO)に違反するような米輸入制限は
・G7の団結を損ない、
・ルールを軽視する中国に有利に働く
と説明した。
WTOについて自由貿易ルールの総本山と期待するのはかなり無理がある。
麻生氏に限らず、
経済産業省も外務省もWTO重視で、
世耕弘成経済産業相も、
米鉄鋼輸入制限をめぐるWTOへの提訴について「あらゆる可能性に備えて事務的作業を進めている」と述べているが、
WTOに訴えると自由貿易体制が守られるとは甘すぎる。
グラフは、WTOの貿易紛争処理パネルに提訴された国・地域別件数である。
圧倒的に多いのは米国で、中国は米国の3分の1以下に過ぎない。
提訴がルール違反容疑の目安とすれば、
米国が「保護貿易国」であり、
中国は「自由貿易国」だという、
とんでもないレッテルが貼られかねない。
事実、習近平国家主席は
・スイスの国際経済フォーラム(ダボス会議)や
・20カ国・地域(G20)首脳会議などの国際会議で
臆面もなく自由貿易の旗手のごとく振る舞っている。
実際には中国は「自由貿易ルール違反のデパート」である。
知的財産権侵害は
・商品や商標の海賊版、
・不法コピーから
・ハイテクの盗用まで
数えればきりがない。
おまけに、中国に進出する外国企業には技術移転を強要し、ハイテク製品の機密をこじ開ける。
共産党が支配する政府組織、金融機関総ぐるみで
WTOで禁じている補助金を国有企業などに配分し、
半導体、情報技術(IT)などを開発する。
習政権が2049年までに「世界の製造大国」としての地位を築くことを目標に掲げている「中国製造2025(メイド・イン・チャイナ2025)」は半導体などへの巨額の補助金プログラムだらけだ。
一連の中国の横暴に対し、
日米欧は
とにかく甘い対応しかとらなかった。
理由は、中国市場でのシェア欲しさによる。
「中国製造2025」にしても、
中国による半導体の国産化プロジェクトは
巨大な半導体製造設備需要が生じると期待し、
商機をつかもうと対中協力する西側企業が多い。
ハイテク覇権をめざす習政権の野望を
強く警戒するトランプ政権の強硬策は
中国の脅威にさらされる日本にとっても大いに意味がある。
G7サミットでは、
日米が足並みをそろえて、欧州を説得し
対中国で結束を図るべきだ。
米国と対立して、
保護主義中国に漁夫の利を提供するのは
ばかげている。(産経新聞特別記者・田村秀男)