ジェトロ、中小企業の日ロ協力を促進:
ロシア中小企業フォーラム
2018.05.25
(https://jp.sputniknews.com/opinion/201805254911564/ )
23日、サンクトペテルブルク国際経済フォーラムの正式開幕を目前に控え、同会場でロシア中小企業フォーラムが開催された。
日本貿易振興機構(ジェトロ)およびロシア中小企業発展公社は、同フォーラム内でパネルディスカッション「中小企業分野での日ロ協力の発展」を実施。
参加者らは日ロ中小企業の有望分野や課題について報告を行った。
ロシアは自国の製造業を伸ばそうと外国企業の工場誘致に力を入れているが、実際に日系企業がロシアに生産拠点をおいてみると、様々な課題が見えてくる。
ブリヂストン・タイヤ・マニュファクチャリングC.I.S.は、2016年12月、ウリヤノフスク州にタイヤ工場をオープンさせた。
新工場では、年間400万本の乗用車用タイヤを生産している。
同社の調達部長・大前仁氏は、原材料の現地調達は大きな課題だと指摘する。
当初の事業計画では、新工場における原材料の現地調達割合は20パーセント、欧州からの輸入割合は45パーセントとなっていた。
しかし操業開始後、欧州からロシアに入るライセンスをもったトラックの台数が少ない、サプライヤーのロシアへの輸出経験が少ない、といった問題が発生。
原材料の輸送距離が長すぎるため、ダメージが生じても、責任の所在があいまいになるということもあったという。
ロシアで現地調達できれば、これらの問題の多くは解決できる。
しかし、現地調達するには、原材料がメーカーの定めるグローバルスタンダードに沿っていることが必要だ。
大前氏は「ここが一番大事なポイントで、例えば異物が入っているなど、グローバル基準を満たさないものがよくある。なぜそれが承認できないのか、きちんと理由を明確にして理解してもらうしかない」と話す。
ロシアの中小企業が大手メーカーのサプライチェーンに入るのは、一朝一夕とはいかないようだ。
モスクワとウーグリチに工場をもつフェローテック・ノルド社は、部品の25パーセントをロシア国内で調達している。
同社の上村圭司社長は、対ロシア経済制裁によって送金がうまくいかない、VAT還付に時間がかかるなどの問題は見られるが、いずれも喫緊の課題ではないとし、今後もロシアからの輸出を伸ばしていく意向を示した。
SBIバンクの畑尾勝巳会長は、利便性の高い技術を取り入れるロシアの変革スピードは非常に早く、金融サービスも例外ではないと話す。
同社はロシアにおいて「家族」にターゲットをしぼり、今年末にはファミリーバンキングとしての包括的サービスを提供する意向を示した。
また法人向けには、日本の中小企業をサポートしていく姿勢を強調した。
福寿園(京都)の子会社「チャイトルグ」の後藤英輔社長は、ロシアは茶の輸入量が世界一であるにもかかわらず、日本茶の存在は微々たるものだと話す。
日本茶とはどういうものか、地道な営業を続け、将来的には人口100万人以上の大都市に1店舗ずつ展開したいと希望を持っている。
後藤氏は「開店にあたって日本の資金だけに依存するのではなく、ロシアの金融機関で資金調達ができれば」と述べた。
ロシア中小企業発展公社のアレクサンドル・ブラベルマン総裁は、日本企業のローカリゼーション促進を支援するとともに、日本企業がロシアでスムーズに活動できるようにするため、ロシアの法的基盤の改善が必要だとの見解を示した。
ジェトロはこれまで、日ロ中小企業の交流会を主催し、企業間の意見交換促進やビジネスマッチングを行ってきた。
また、ジェトロが中小企業を対象に行っているロシア展開支援事業は、専門家のコンサルティングサービスが受けられるとあって、高いニーズがある。
ジェトロの入野泰一理事は、日本市場への参入を希望するロシアの中小企業に対し、ジェトロが昨年10月から開設した「日本×ロシア ビジネスマッチングサイト」を積極的に活用するよう呼びかけた。
ロシア中小企業フォーラム
2018.05.25
(https://jp.sputniknews.com/opinion/201805254911564/ )
23日、サンクトペテルブルク国際経済フォーラムの正式開幕を目前に控え、同会場でロシア中小企業フォーラムが開催された。
日本貿易振興機構(ジェトロ)およびロシア中小企業発展公社は、同フォーラム内でパネルディスカッション「中小企業分野での日ロ協力の発展」を実施。
参加者らは日ロ中小企業の有望分野や課題について報告を行った。
ロシアは自国の製造業を伸ばそうと外国企業の工場誘致に力を入れているが、実際に日系企業がロシアに生産拠点をおいてみると、様々な課題が見えてくる。
ブリヂストン・タイヤ・マニュファクチャリングC.I.S.は、2016年12月、ウリヤノフスク州にタイヤ工場をオープンさせた。
新工場では、年間400万本の乗用車用タイヤを生産している。
同社の調達部長・大前仁氏は、原材料の現地調達は大きな課題だと指摘する。
当初の事業計画では、新工場における原材料の現地調達割合は20パーセント、欧州からの輸入割合は45パーセントとなっていた。
しかし操業開始後、欧州からロシアに入るライセンスをもったトラックの台数が少ない、サプライヤーのロシアへの輸出経験が少ない、といった問題が発生。
原材料の輸送距離が長すぎるため、ダメージが生じても、責任の所在があいまいになるということもあったという。
ロシアで現地調達できれば、これらの問題の多くは解決できる。
しかし、現地調達するには、原材料がメーカーの定めるグローバルスタンダードに沿っていることが必要だ。
大前氏は「ここが一番大事なポイントで、例えば異物が入っているなど、グローバル基準を満たさないものがよくある。なぜそれが承認できないのか、きちんと理由を明確にして理解してもらうしかない」と話す。
ロシアの中小企業が大手メーカーのサプライチェーンに入るのは、一朝一夕とはいかないようだ。
モスクワとウーグリチに工場をもつフェローテック・ノルド社は、部品の25パーセントをロシア国内で調達している。
同社の上村圭司社長は、対ロシア経済制裁によって送金がうまくいかない、VAT還付に時間がかかるなどの問題は見られるが、いずれも喫緊の課題ではないとし、今後もロシアからの輸出を伸ばしていく意向を示した。
SBIバンクの畑尾勝巳会長は、利便性の高い技術を取り入れるロシアの変革スピードは非常に早く、金融サービスも例外ではないと話す。
同社はロシアにおいて「家族」にターゲットをしぼり、今年末にはファミリーバンキングとしての包括的サービスを提供する意向を示した。
また法人向けには、日本の中小企業をサポートしていく姿勢を強調した。
福寿園(京都)の子会社「チャイトルグ」の後藤英輔社長は、ロシアは茶の輸入量が世界一であるにもかかわらず、日本茶の存在は微々たるものだと話す。
日本茶とはどういうものか、地道な営業を続け、将来的には人口100万人以上の大都市に1店舗ずつ展開したいと希望を持っている。
後藤氏は「開店にあたって日本の資金だけに依存するのではなく、ロシアの金融機関で資金調達ができれば」と述べた。
ロシア中小企業発展公社のアレクサンドル・ブラベルマン総裁は、日本企業のローカリゼーション促進を支援するとともに、日本企業がロシアでスムーズに活動できるようにするため、ロシアの法的基盤の改善が必要だとの見解を示した。
ジェトロはこれまで、日ロ中小企業の交流会を主催し、企業間の意見交換促進やビジネスマッチングを行ってきた。
また、ジェトロが中小企業を対象に行っているロシア展開支援事業は、専門家のコンサルティングサービスが受けられるとあって、高いニーズがある。
ジェトロの入野泰一理事は、日本市場への参入を希望するロシアの中小企業に対し、ジェトロが昨年10月から開設した「日本×ロシア ビジネスマッチングサイト」を積極的に活用するよう呼びかけた。
ジェトロ石毛理事長
「ロシアに必要なのは競争概念」
2018.05.26
(https://jp.sputniknews.com/opinion/201805264921440/ )
25日、サンクトペテルブルク国際経済フォーラムに参加した日本貿易振興機構(ジェトロ)の石毛博行理事長は、スプートニクのインタビューに応じ、日ロ経済関係は改善傾向にあり、中小企業のロシアに対する関心は確実に高まっていると述べた。
安倍首相がプーチン大統領に「8項目の協力プラン」を提案してからちょうど2年が過ぎた。
この2年間でジェトロに寄せられたロシア進出の相談は、約2100件にものぼった。
同期間に寄せられたドイツ進出に関する相談が約1800件だったことを考慮すれば、非常に多くの企業がロシアビジネスに新しく関心を持ったことがわかる。
また、8項目の協力プラン提案後にジェトロが開催したロシア進出に関するセミナーは20回にものぼり、中小企業を中心に1500名以上が参加した。
ロシアセミナーでこれほどの希望者が集まるのは、かつてなかったことだ。
ロシアに進出済みの日系企業にも、明るい兆しが見えている。
ジェトロの最新調査によれば、ロシアで活動する日系企業のうち、3分の2が黒字経営となっており、この結果は過去最高だ。
調査では、全体の約6割の企業が、今後もロシアビジネスを拡大していく意向を示している。
石毛氏
「これだけ日本の中小企業が積極的にロシアに関心を持つのは初めてのことで、喜ばしいのですが、まだまだ、ロシアについてはよく知られていません。
より多くの日系企業が進出するためには、もっとロシアを知り、ロシアを訪れ、ロシアのビジネスマンと会うという3つの要素が不可欠です。
日本の中小企業は約380万社あり、優れた技術をもっている会社はたくさんありますが、海外でビジネスをすることにためらいがある。
こういった心理的障壁を取り除くのも私たちの役割です。
ジェトロはそのための機会を提供します。」
しかし、問題点もある。
現在、世界の貿易環境は大きく変化しており、米中間の貿易摩擦、米国の貿易制限など、マクロの経済環境に悪影響を及ぼす要因が存在している。
世界経済全体が停滞すると、企業もリスクを避け、ひいては対露貿易にもマイナスに作用するのではないかと懸念されている。
更に、ロシアに特有の課題もある。
石毛氏は、ロシアビジネスの問題点を解決するには、ロシアの企業や地方政府が競争概念をもつことが不可欠だと指摘する。
石毛氏
「税関手続きや許認可手続きの遅さ、複雑さや不透明感がロシアビジネスの障害になっています。
責任の所在が明確でない、法律上のルールと実際の運用がイコールでないといった問題点の改善を徹底して進めなくてはいけません。
世界銀行のビジネス環境ランキングでロシアの順位はずいぶん上がりましたが、日系企業からは『まだまだ改善点が多く、改善スピードも遅い』との声が出ています。
地方政府ごとのビジネス環境ランキングも公表されており、こういう取り組みは非常に有効だと思います。
改善は、競争の中で行われていくものです。
ロシアは競争という概念をもっとしっかり強調して、それをビジネスの基本にするべきです。
企業間、地方間で競争することで、ビジネスに適した環境が作られていくのだと思います。」
ジェトロは、日系企業のパートナー探しの一環として、ロシアを含む様々な国を対象にビジネスマッチングを行っている。
しかしロシア側はビジネスマッチングに取り組み始めてまだ日が浅く、どのような企業が何を得意とし、どういうパートナーを探しているのかといった情報収集・提供が十分ではない。
石毛氏は、マッチングをより促進するために、数字だけにとどまらない具体的な情報を収集・提供する体制を整えてくれるようロシア側に呼びかけた。
「ロシアに必要なのは競争概念」
2018.05.26
(https://jp.sputniknews.com/opinion/201805264921440/ )
25日、サンクトペテルブルク国際経済フォーラムに参加した日本貿易振興機構(ジェトロ)の石毛博行理事長は、スプートニクのインタビューに応じ、日ロ経済関係は改善傾向にあり、中小企業のロシアに対する関心は確実に高まっていると述べた。
安倍首相がプーチン大統領に「8項目の協力プラン」を提案してからちょうど2年が過ぎた。
この2年間でジェトロに寄せられたロシア進出の相談は、約2100件にものぼった。
同期間に寄せられたドイツ進出に関する相談が約1800件だったことを考慮すれば、非常に多くの企業がロシアビジネスに新しく関心を持ったことがわかる。
また、8項目の協力プラン提案後にジェトロが開催したロシア進出に関するセミナーは20回にものぼり、中小企業を中心に1500名以上が参加した。
ロシアセミナーでこれほどの希望者が集まるのは、かつてなかったことだ。
ロシアに進出済みの日系企業にも、明るい兆しが見えている。
ジェトロの最新調査によれば、ロシアで活動する日系企業のうち、3分の2が黒字経営となっており、この結果は過去最高だ。
調査では、全体の約6割の企業が、今後もロシアビジネスを拡大していく意向を示している。
石毛氏
「これだけ日本の中小企業が積極的にロシアに関心を持つのは初めてのことで、喜ばしいのですが、まだまだ、ロシアについてはよく知られていません。
より多くの日系企業が進出するためには、もっとロシアを知り、ロシアを訪れ、ロシアのビジネスマンと会うという3つの要素が不可欠です。
日本の中小企業は約380万社あり、優れた技術をもっている会社はたくさんありますが、海外でビジネスをすることにためらいがある。
こういった心理的障壁を取り除くのも私たちの役割です。
ジェトロはそのための機会を提供します。」
しかし、問題点もある。
現在、世界の貿易環境は大きく変化しており、米中間の貿易摩擦、米国の貿易制限など、マクロの経済環境に悪影響を及ぼす要因が存在している。
世界経済全体が停滞すると、企業もリスクを避け、ひいては対露貿易にもマイナスに作用するのではないかと懸念されている。
更に、ロシアに特有の課題もある。
石毛氏は、ロシアビジネスの問題点を解決するには、ロシアの企業や地方政府が競争概念をもつことが不可欠だと指摘する。
石毛氏
「税関手続きや許認可手続きの遅さ、複雑さや不透明感がロシアビジネスの障害になっています。
責任の所在が明確でない、法律上のルールと実際の運用がイコールでないといった問題点の改善を徹底して進めなくてはいけません。
世界銀行のビジネス環境ランキングでロシアの順位はずいぶん上がりましたが、日系企業からは『まだまだ改善点が多く、改善スピードも遅い』との声が出ています。
地方政府ごとのビジネス環境ランキングも公表されており、こういう取り組みは非常に有効だと思います。
改善は、競争の中で行われていくものです。
ロシアは競争という概念をもっとしっかり強調して、それをビジネスの基本にするべきです。
企業間、地方間で競争することで、ビジネスに適した環境が作られていくのだと思います。」
ジェトロは、日系企業のパートナー探しの一環として、ロシアを含む様々な国を対象にビジネスマッチングを行っている。
しかしロシア側はビジネスマッチングに取り組み始めてまだ日が浅く、どのような企業が何を得意とし、どういうパートナーを探しているのかといった情報収集・提供が十分ではない。
石毛氏は、マッチングをより促進するために、数字だけにとどまらない具体的な情報を収集・提供する体制を整えてくれるようロシア側に呼びかけた。
日本、4極東プロジェクトに投資
2018.05.31
(https://jp.sputniknews.com/business/201805314939430/ )
サンクトペテルブルク国際経済フォーラムで露日合弁の投資プラットフォーム(極東JPPV)とロシア極東の新型経済特区(TOR)の入居事業4社の間で投資に関する合意が調印された。
サハ共和国(ヤクーチア)にある会社「サユリ」に、TOR「カンガラシ」で1年中野菜栽培を可能にする2棟目の温室を建設するため投資された。
建設には北海道総合商事が参加する。
温室では年間2200トン以上の野菜栽培が予定される。
沿海地方では日本企業「Сумотори」(スモウトリ)とともにTOR「ナデージンスカヤ」にスマート技術を用いた乗用車・トラックのリサイクル工場を建設している「テルミナTOR」社が投資を受けた。
「スモウトリ」社はこのプロジェクトのパートナー会社に荒井商事とロイヤルオートパーツを持つ。
TOR「ナデージンスカヤ」にはまた、日本の技術を用いた温室建設と、シリカを加工して日本に輸出するための工場建設に向けて、JFEエンジニアリングが投資を行う。
2018年中に少なくとも10個の露日投資プロジェクトが行われる予定。
こうしたテンポはロシアと日本が策定した、次の5年間で極東に1630億円の投資を呼び込むというビジネスプランの実現を可能にする。
2018.05.31
(https://jp.sputniknews.com/business/201805314939430/ )
サンクトペテルブルク国際経済フォーラムで露日合弁の投資プラットフォーム(極東JPPV)とロシア極東の新型経済特区(TOR)の入居事業4社の間で投資に関する合意が調印された。
サハ共和国(ヤクーチア)にある会社「サユリ」に、TOR「カンガラシ」で1年中野菜栽培を可能にする2棟目の温室を建設するため投資された。
建設には北海道総合商事が参加する。
温室では年間2200トン以上の野菜栽培が予定される。
沿海地方では日本企業「Сумотори」(スモウトリ)とともにTOR「ナデージンスカヤ」にスマート技術を用いた乗用車・トラックのリサイクル工場を建設している「テルミナTOR」社が投資を受けた。
「スモウトリ」社はこのプロジェクトのパートナー会社に荒井商事とロイヤルオートパーツを持つ。
TOR「ナデージンスカヤ」にはまた、日本の技術を用いた温室建設と、シリカを加工して日本に輸出するための工場建設に向けて、JFEエンジニアリングが投資を行う。
2018年中に少なくとも10個の露日投資プロジェクトが行われる予定。
こうしたテンポはロシアと日本が策定した、次の5年間で極東に1630億円の投資を呼び込むというビジネスプランの実現を可能にする。
ザギトワ選手がインスタグラムに投稿した秋田犬「マサル」の散歩の様子
(www.sankei.com/world/news/180528/wor1805280015-n1.html )