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◆ 攻撃参加は対米追従でなく「人道的介入」 メイ英首相

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シリア攻撃
化学兵器禁止機関
14日の現地調査は予定通り実施

2018.04.15
(http://www.sankei.com/world/news/180415/wor1804150003-n1.html )

市民への化学兵器使用が疑われるバッシャール=アル・アサド大統領側へ行われた、懲罰的な米英仏のミサイル攻撃で破壊されたシリア科学研究センターから発生する煙を消す消防士ら=14日、ダマスカス近郊(AP)
市民への化学兵器使用が疑われるバッシャール=アル・アサド大統領側へ行われた
懲罰的な米英仏のミサイル攻撃で破壊されたシリア科学研究センターから
発生する煙を消す消防士ら=14日
ダマスカス近郊AP



米英仏によるシリア攻撃を受け、化学兵器禁止機関(OPCW、本部ハーグ)は14日の声明で、検証チームはシリアで予定通り作業を行うと発表した。

OPCWは、首都ダマスカス近郊で化学兵器が使用された疑惑で、14日から現地で調査を行うと発表していた。

現地では国連と連携し、チームの安全確保を図るとしている。【パリ=三井美奈】




攻撃参加は対米追従でなく人道的介入
メイ英首相 緊急性から議会に諮らず

2018.04.17
(http://www.sankei.com/world/news/180417/wor1804170039-n1.html )

 英国のメイ首相(ゲッティ=共同)
英国のメイ首相ゲッティ=共同


メイ英首相は16日、下院で米仏とシリア攻撃参加を決めた理由について、化学兵器使用を繰り返さないための「人道介入」と強調、米国に追従したのではなく、緊急の必要性があったためスピード優先で議会に諮らなかったと説明した。

その上で、攻撃は「正当で合法。国益に合致する」と主張した。


メイ氏は元スパイ襲撃事件にも触れ、「化学兵器がシリアや英国の街角で当たり前のように使用されることは許されない」と述べ、アサド政権を支持するロシアを牽制((けんせい)した。


また「アサド政権が化学兵器を使用したとの重要な証拠が数多くある」と指摘した上で、国連安保理での独立調査団新設決議案にロシアが拒否権行使したことを挙げ、外交解決が妨げられたと強調。

「国際法に違反する化学兵器使用でシリア国民が人道上の困難に直面しており、空爆以外の実行可能な代替手段はなかった」と攻撃の根拠を述べた。


さらに「ドイツのメルケル首相はじめ各国首脳や欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)など幅広い国際社会から支援も得た」と釈明した。


ただ、メイ氏が議会承認を得ないまま空爆に踏み切ったことを野党労働党のコービン党首は「民主的手続きが損なわれた」と非難。

メイ氏は「パートナーとの協力にスピードが不可欠だった」などと説明した。


英首相には他国への軍事攻撃の際に議会承認を得る法的義務はない。【ロンドン=岡部伸】




米軍撤収後合同部隊派遣も
トランプ政権中東・湾岸諸国に協力要請
米紙報道

2018.04.17
(http://www.sankei.com/world/news/180417/wor1804170035-n1.html )

トランプ大統領=5日、ウエストバージニア州(ロイター)
トランプ大統領=5日ウエストバージニア州ロイター


米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は16日、トランプ政権がシリアでのイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)掃討作戦の終結後、米軍部隊の撤収と入れ替えに中東・湾岸諸国によるシリア北東部安定化のための合同軍部隊を派遣させることを計画していることが分かったと報じた。


米政府当局者らが同紙に語ったところでは、ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が最近、エジプトの情報機関「総合情報庁」(GIS)のカメル長官代行と電話で会談した際、エジプトが部隊派遣に協力できるか打診した。


トランプ政権はまた、サウジアラビアとカタール、アラブ首長国連邦(UAE)に対しても、シリア情勢の安定化に向けて数十億ドルを拠出するよう要請するとともに、部隊派遣も求めているとしている。


トランプ大統領は、13日のシリア攻撃発表の際の演説で、シリアの周辺国が情勢安定化に貢献するよう強く要請。

一方、約2千人規模のシリア駐留米軍の早期撤収を主張するトランプ氏に対し、政権内部ではイランやロシア、他の過激組織に付け入る余地を与えるとして異論が出ていた。


今回の構想は、米軍撤収は実現させつつ、それによって「力の空白」が生じるのを防ぐのが狙い。

トランプ政権としては、イランの影響力拡大を恐れる中東・湾岸諸国が積極的に協力に応じてくるとの計算があるとみられる。【ワシントン=黒瀬悦成】




シリア攻撃で不安増す新たな中東枢軸
2018.04.17
(http://www.sankei.com/world/news/180417/wor1804170008-n1.html )

14日、シリアを攻撃するため米軍艦から発射された巡航ミサイルのトマホーク(米海軍提供)
14日シリアを攻撃するため米軍艦から発射された
巡航ミサイルのトマホーク
米海軍提供



米英仏がシリアを攻撃した。

アサド政権を支えるロシアはミサイルが飛来したら「迎撃する」と警告したが、結局反撃しなかった。

小国の政治が大戦の引き金になりかねない構図は、1962年のキューバ危機を思わせた。


ロシアに配慮し、米英仏は早々に「アサド政権打倒が目的ではない」(パルリ仏国防相)と強調した。

舞台は国連安全保障理事会に移り、米欧とロシアが対立する「いつもの構図」に戻った。

シリア内戦の大勢に影響はない。

攻撃の成果は目下、「国際法違反は許さない」と主張した米英仏が面目を保ったことにとどまる。

アサド政権の化学兵器使用疑惑では5年前、当時のオバマ米政権がロシアに妥協し、土壇場で攻撃を見送ったからだ。

イスラエル紙ハアレツはシェークスピア喜劇になぞらえて今回の攻撃を「空騒ぎ」と皮肉った。


一方でシリア攻撃は、中東を分断する2つの新枢軸を改めて浮き彫りにした。

かつてイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)掃討で協調ポーズをとった米露が、はっきり攻守に分かれた。

露側にはイラン、トルコが加わる。


米側陣営は、欧州に加え、サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)の湾岸君主制諸国。

注目すべきは、エジプトが「軍事紛争の拡大」に懸念を表明するなど、親米だったはずの国が攻撃を支持しなかったことだ。

イラク政府は「地域を不安定化し、テロ拡大を招く」と強く反発した。

北大西洋条約機構(NATO)加盟国であるトルコのエルドアン大統領は攻撃を支持したが、ロシアと組む姿勢は変えていない。

攻撃の当日、プーチン露大統領と電話し、シリア安定化で協力を確認した。


米露の対立は、中東で米ソ冷戦が復活したかに見える。

だが、対決の真の主役は、地域覇権を競うイランとサウジである。

両陣営は、攻撃前から激しい駆け引きを展開した。

攻撃の10日前、イランのロウハニ大統領はエルドアン、プーチン両氏とトルコの首都アンカラに集い、「3国枢軸」をアピール。

一方、サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は3月から約1カ月かけて英米仏を歴訪した。

イランがシリアを拠点に影響力を広げるのを阻止するため、包囲網構築を狙った。


皇太子は、米誌との会見で「イスラエル人には郷土を持つ権利がある」と述べた。

これまでのサウジ王室では考えられないほど踏み込んだ発言で、イスラエルに秋波を送った。

イスラエルにとってもイランは宿敵。

サウジと非公式にでも同盟関係を結べば、中東政治の歴史的転換になる。


シリア攻撃でサウジは一時の満足を得たが、それ以上に大きな不安が浮かぶ。


トランプ米大統領は攻撃後の演説で「米国人の血と金を注いでも中東に恒久平和は構築できない」と述べ、シリアから米軍を撤収させたい意向を再び示唆した。

英仏は、イラン核合意を維持する姿勢を変えない。

彼らの関心はIS掃討。

陣営の思惑は異なる。


イスラエル対アラブ
米国対ソ連(ロシア)
イスラム教スンニ派対シーア派

これまでの対立軸とは違う。

中東分断の構図は複雑化した。

間違いなくいえるのは、米国の空白が生じれば、イランとロシアがシリアの行方を決め、地域の緊張が一層高まるということだ。(パリ支局 三井美奈)


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