パトリック・J・ブキャナン著/河内隆弥訳
超大国の自殺
― アメリカは、2025年まで生き延びるか? ―
2012年11月5日 第1刷発行 幻冬舎
我々の父たちの洞察力は、
国家の現在の危機を説明してやまない。
なぜなら、
父たちと我々が育ったキリスト教国であることを、
アメリカが止めたからである。
第2章 キリスト教国アメリカの死
アメリカはキリスト教国として生まれた。
―― ウッドロウ・ウィルソン
ここはキリスト教国だ。
―― ハリー・トルーマン 1947年
われわれはキリスト教国だとは思っていない・・・
―― バラク・オバマ 2009年
2009年の大統領就任にあたって、
カリフォルニア州オレンジ郡
サドルバック教会の牧師、リック・ウォレンが
公式礼拝を行った。
ウォレンは 3千万部を販売した
『人生を導く 5つの目的』 の著者である。
ウォレンは、
同性同士の婚姻を不法とした州憲法の修正
「カリフォルニア州法プロポジション 8 」
を支持したことで攻撃されていた。
彼は礼拝を次のように締めくくった。
「わたくしは、わたくしの人生を変えたただひとつの方、
イエシェア、
アイザ、
イエズス (スペイン語の発音で)
ジーザス、
祈りを教えたもうた 『天にましますわれらが父・・・』 の
御名のもとに、謹んでお祈りするものであります」。
クリスチャンの多くは、
ウォレン牧師がイエスを神の子と認識せず、
イスラムの名、アイザと呼んだことに
驚かされた。
なぜならイスラム教では、神に子があったとは教えず、
アイザは神ではなく、
マホメッドに地位を奪われた預言者の一人とされているからだ。
ウォレンはイエスについてイスラム観を持ち出したように見え、
キリストの神性を否定する見方を彼は容認していた。
オバマ大統領はウォレンに従った。
彼は
アメリカがキリスト教国であるという見方を
拒否したのである。
「わが国は、
キリスト教徒、
イスラム教徒、
ユダヤ人、
ヒンズー教徒、
そして無信心者
の国である」。
初めて、
アメリカにおけるキリスト教の優位を
否定した大統領となった。
1892年、最高裁判所は、「ここはキリスト教国である」 と宣言した。
この大統領は、その就任にあたって、
我々がそうであることを止めると言い切ったのである。
オバマ時代は、
ポスト・クリスチャン (キリスト教以後) のアメリカの
到来となる。
オバマ就任の祝福に際して、
ジョセフ・ローリー師は、多宗教の容認問題を支持し、
その問題を、
あらゆる宗教から、あらゆる民族への問題と
拡大させた。
主よ・・・
黒人が引っ込んでいろと言われない、
褐色の皮膚のものがそばにいられる、
黄色人種が融和する、
先住民が先を歩む、
白人が正しいことをする、
そういう日のためにわたくしたちが働くことを、
どうかお助けください。
翌朝、クリスチャン教会 (デサイプル族) の総代表、
世界教会協議会の中央委員会のメンバーである
牧師のシャロン・ワトキンス博士が、
ワシントン・ナショナル大聖堂の演壇にのぼった。
ワトキンスは、
国家祈祷式で説教を行う
最初の女性となった。
普遍的であろうと意識して、
ワトキンスは、
チェロキーの狼と賢者の昔話からはじめて、
旧約聖書に転じた。
「イザヤ書の終りの各章で、預言者イザヤは、BCE 500年代に・・・」
BCE ?
この頭文字は、
BC 「ビフォー・クライスト (西暦紀元前)」 を
止めたい、という連中に使われている。
何世紀も、文明社会は歴史を
BC と
AD、
アンノ・ドミニ 「主の時代」
に使い分けてきたのである。
BCE とは、
「ビフォー・ザ・コモン・エラ (共有の時代の前)」
「ビフォー・ザ・カレント・エラ (いまの時代の前)」
「ボフォー・ザ・クリスチャン・エラ (キリスト教時代の前)」
を表わす。
世俗主義者が、すべての歴史表記に、
「BCE」 を BC の替わりに、
「CE (コモン・エラ=共有の時代)」 を AD の替わりに
使用したいと図っている
―― こうして
世界史の句読点としてのキリストとキリスト教を
排除しようというのだ。
良い狼と恐ろしい狼の話をしたあと、ワトキンス師は、こう質問する。
そこで神を愛するにあたって、
わたしたちはどうすれば良いのでしょうか?
そう、キリストの要約したイザヤ書によれば、
イスラムの学者たちと他の者たちによる、
世界に広がる共同社会が確認したように、
広やかな心を以ってしても厳しい試練に直面しています。
互いに背を向け合うのではなく、互いに手を差し延べましょう。
マハトマ・ガンジーは言いました、
「いかに貧しくとも、人は一切れのパンの中ですら神を見出す」。
イエスに言及された箇所は、この部分だけだった。
イエスは神の子でもなければ、人類の救済者でもなく、
イザヤ書を要約した仲間とされたのである。
ワトキンス師の説教、「自由のハーモニー」 は、
エンマ・ラザレス、
マーチン・ルーサー・キング、
オバマ、
『美しきアメリカ』 の著者で
25年間、ウェルズレー校の校長を務めたカタリン・コーマン教授との
論争に明け暮れたカタリン・リー・ベイツを引用して続けられらた。
ワトキンスは、ジェームズ・ウェルドン・ジョンソンの辞世、
「すべての声と歌を高らかに」 を引用して説教を終えた。
この歌は、「黒人の国歌」 と呼ばれている。
クリスチャンにとって、キリストは神の子である。
かれを通じてのみ、我々は “父” のもとに行き、
救いに辿り着けるのである。
しかしワトキンス師は、
世界中の聴衆を前にして
チェロキーの話を優先して例えに使い、
主とその救済のメッセージを
無視しようとしていた。
オバマの就任式は、
2世紀にわたって
アメリカ人の公共生活を骨太に保ってきた
キリスト教精神の
衰退と減失を象徴していた。
これを 1 つの国家のことではなく、
一軒の家に住む家族に当てはめて考えてみて下さい。
子どもは仕方がないとして、成人ならば、
そこがイヤなら出て行って独立すればいいんですw
それを、やり方が気に入らないからと、
他の家族を自分の考え方に変えようというのは、
どうなんでしょう?
まあ、日本でも 「老いては子に従え」 なんて格言もありますけど、
親がまだ現役で動いているうちは、
子どもが出て行くのが正論に思えます、私は。
親子が同じ物の考え方、捉え方をするのが、
一番いいのは当然ですが・・・
アメリカは、イギリスの国教会のやり方が気に食わなくて、
家出して独立して築いた国家です。
イギリス国教会のやり方が気に入らなかっただけで、
クリスチャンなのです。
ちなみに黒人奴隷狩りとか売買というのは、
古くは中近東あたりの慣習だったものを、
白人が真似をしたものです。
それと、欧米にいる黒人が、
全て、奴隷狩りや売買で強制連行されてきたわけではなく、
日本でも問題になっている民族問題と同じで、
自分から出稼ぎに来て居着いた人たちも多い、
ということも考えに入れましょう。
イスラム教というのは、
マホメッド (ムハマンド) という誇大妄想狂が、
自分はイエスと同じ預言者である、
とか言っちゃって始めた宗教なので、
その神 “アッラー” は、キリスト教の神 “ヤハゥェ” と同じです。
それにつけても先住民。
イスラエル人はカナン人を。
カナン人はネアンデルタール人を。
ネアンデルタール人は・・・
もくじ
(hawkmoon269.blog.so-net.ne.jp/2017-01-28 )
日本語版への序文
序文
まえがき 分裂してゆく国家
1 超大国の消滅
2 キリスト教国アメリカの死
3 カソリックの危機
4 白いアメリカの終焉
5 人口統計の示す冬
6 平等か、自由か?
7 多様性 (ディヴァーシティ) カルト
8 部族主義 (トライバリズム) の勝利
9 「白人党 (ホワイト・パーティ)」
10 緩慢な後退
11 ラスト・チャンス
謝辞
訳者あとがき
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◆ 超大国の自殺 (15) 第2章・キリスト教国アメリカの死
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