パトリック・J・ブキャナン著/河内隆弥訳
超大国の自殺
― アメリカは、2025年まで生き延びるか? ―
2012年11月5日 第1刷発行 幻冬舎
第1章 超大国の消滅
(12) われわれに何が起こったのか?
この共和国は、
いかにして、大恐慌を乗り越えて第二次大戦に勝ち、
ヨーロッパと日本を再建し、
月面に人類を送り、
世界を繁栄の時代へと先導し、
半世紀続いた冷戦のあとソ連に勝ったのだろうか?
どこで悪い道へ曲がったのか?
どうして道に迷ったのか?
一世代のうちに、どうして我々は、
国民の大多数が
アメリカは悪い方向へ向かって進んでいる
と信じるような地点にまで来てしまったのか?
子どもたちは
両親が過ごした良い生活を知ることもないだろうし、
国民の何千万人には
アメリカン・ドリームが叶うはずもないのである。
答。我らがシステムの失敗は、社会づくりの失敗に根ざす。
われわれは、
われらが両親と同じ考え方に支配されておらず、
同じ道徳的価値観を持っていない。
今日、「自由」 は、「平等の後部座席」 に座っている。
「神のもとに、分割されることのない一つの国家」 は、
多様性と多文化主義を崇める時代にあって、
骨董品的概念となった。
われらのインテリと文化エリートは、
両親たちが信じた神と、
そのもとで生きてきた倫理規範を、
拒否する。
父親たちは警告する、
「それを失うことが起これば、共和国は一巻の終わりだ」 と。
「徳、倫理、そして宗教」 と、パトリック・ヘンリー
(訳注: アメリカの言語氏、政治家。1736 ―1799)
が言った。
「友よ、それが鎧だ。それだけが我々を不敗にする・・・。
それを失えば、真実、我々は
征服され、消えてなくなるのだ」。
「基本的にそれは真実である」 とワシントンは言った。
「人民の政府にとって、徳、ないし倫理は、不可欠の基本である」。
そして、「徳と倫理の源泉は宗教である」 とワシントンは信じていた。
宗教なくして倫理が維持できるものと、慎重に考えてみても・・・。
政治的成功を導くあらゆる命題と習性的要素の中で、
宗教と倫理は必要欠くべからざる支柱である。
愛国心の成果を奪おうとするもの、
人間の幸福の大いなる柱、人、市民の義務という堅固な柱石を、
破壊しようとする者の試みは、失敗するだろう。
半世紀後、トクヴィル
(訳注:アレクシ・ド・トクヴィル、
フランスの政治思想家。1805 ― 1859)
は、宗教が共和国の柱となっているというワシントンの信念を、
アメリカ人が共有していることを発見した。
わたしは、アメリカ人のすべてが
宗教に対して真摯な信条を抱いているや否やを知らない
――誰が他人の心の中を探り得ようか?――
しかし彼らが、
共和国組織の維持に必要不可欠であるとして、
それを守っていることは確かである。
この考えは、市民のある階層とか党だけに
特別となっているものではない。
すべての国民、社会の、あらゆる階級に
保持されているのである。
その有名なプリムス・ロックのスピーチで、
1820年、ダニエル・ウェブスター
(訳注: アメリカの政治家、法律家。1782 ― 1852)
は述べた。
「われらが祖先は、その当地の体系を、
道徳的、かつ宗教的な感性を以って創設した。
彼らは信じる。
倫理の習性は、宗教的原理以外の基盤には根付かない、
また、倫理の習性で支えられない政府は、
これを維持することが出来ないと」。
宗教は道徳の基盤であり、
道徳的国民のみが、自由な共和国を維持できる、
と彼らは断言する。
宗教がなければ道徳は地に堕ちて死ぬ。
共同社会は分解する。
国家は崩壊する。
われわれの父たちの洞察力は、
国家の現在の危機を説明してやまない。
なぜなら、
父たちとわれわれが育った
キリスト教国であることを、
アメリカが止めたからである。
私が聴いている、ヘヴィ・メタルという音楽。
ロングヘアー、あるいはスキンヘッドで、
鎖だの鋲だのをガチャガチャ言わせ、
とてつもなくヤカマシイ騒音をガナリ立てている、
と、知らない人たちは思うでしょう。
が、メタリカにしても、メガデスにしても、
その歌詞の中にキリストがしっかり息づいている。
「クリスチャン・メタル」 というジャンルもあるくらいです。
神、悪魔、そして精神の弱い愚かな自分あるいは人間たち・・・
父は、母は、諭した。神に祈りを捧げよ、と。
祈りを捧げれば、この苦しみを逃れることが出来るのか?
いっそ、悪魔に身を委ねた方が楽だ。
と歌いながら、なおも、
「おー、神よ、この愚かな俺を救ってくれ!」
と祈る。
そんな内容の歌詞が至る所に出て来ます。
その、「心の支え」。
あるいはまた、日本の
「誰が見ていなくても、おてんとうさまが見ている」
という精神に通じる
「神が許さないだろう」 という意識。
しかし、それを否定したのが、共産主義者たち。
ソ連はロシア正教を葬り去り、中共は儒教を破壊した。
そしてそれに憧れた、
良心的知識人だの、
進歩的文化人だの、
インテリだのエリートだの。
そもそもロックン・ロールという音楽は、
そんな “鼻持ちならないヤツら” に反抗する音楽でした。
だからこそ、進歩的文化人だのエリートだのが持て囃す
ビートルズなんてシロモノを、
私は 「ロックン・ロール」 とは認めていないのですwww
ロシアは、
先人たちが宗教を葬り去ったことが間違いだったと
悟りました。
そしてロシア正教を復活させました。
中共もそれに倣いましたが、
儒教などの中国古来の宗教ではなく、
キリスト教だろうとなんだろうと、お構いなしです。
しかも、肝心の孔子を、
プロパガンダの手先に使ってるんですから
凄いですw
あるいはウイグルのイスラム教徒に手を焼いたりしてますねw
中共は、日本が中国に侵略して来たとか騒いでますけど、
清国時代、最も進出していたのは大英帝国です。
有名な 「アヘン戦争」 なんてものまでありますね。
それで、意外なほど、キリスト教徒が多い。
清国時代だったか、「太平天国」 なんていう、
一杯飲み屋みたいな名前の (笑) 中国式キリスト教を標榜して、
一時は天下を獲った者までいました。
国土は広大でも 「出口」 がとっても狭い
中国の、チョ―簡略な歴史 (2)
(http://natsunokoibito.blog.fc2.com/blog-entry-1218.html )
が、しかし、時代遅れの日本の左向きたちは、
いにしえのソ連や毛沢東のままで固まっちゃってますから、
日本の宗教を認めようとしない・・・いや、知らないのかもねw
そんな日本の左向きたちと、同じレベルで固まっている、
アメリカのインテリやエリートたち・・・
フランクフルト学派
(http://d.hatena.ne.jp/jjtaro_maru/20091023/1256254671 )
もくじ
(hawkmoon269.blog.so-net.ne.jp/2017-01-28 )
日本語版への序文
序文
まえがき 分裂してゆく国家
1 超大国の消滅
2 キリスト教国アメリカの死
3 カソリックの危機
4 白いアメリカの終焉
5 人口統計の示す冬
6 平等か、自由か?
7 多様性 (ディヴァーシティ) カルト
8 部族主義 (トライバリズム) の勝利
9 「白人党 (ホワイト・パーティ)」
10 緩慢な後退
11 ラスト・チャンス
謝辞
訳者あとがき
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◆ 超大国の自殺 (14) 第1章 ⑫ われわれに何が起こったのか?
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