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◆ (57) 第九章 ③ 人種政治ゲームは終わらない

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U2 ~ I Still Haven't Found What I'm Looking For (1987 - PV 2016.10.18 公開)



パトリック・J・ブキャナン著
宮崎哲弥監訳
病むアメリカ、滅びゆく西洋
2002年12月5日 成甲書房

第九章 怯える多数派



(3) 人種政治ゲームは終わらない



「思いやるある保守主義」 が何をどう願おうと、
文化闘争も人種衝突もなくならない。
多くの利害が絡んでいる。
黒人とヒスパニックは人口の 4分の1 を占め、
大統領選における両者のブロック化は強まる一方だ。
メディアも人種衝突に利害がある。
紛争の報道自体血が騒ぐが、視聴率と広告収入にはさらに大きく胸躍る。
O・J・シンプソン裁判は国を分離・対立させたかもしれないが、
CNN にとっては大豊作の年だった。



政府機関の膨張 ――
EEOC (雇用機会均等委員会)、公民権委員会、法務省公民権局、教育省、厚生省 ――
は常に新たな 「犠牲者」 供給を要する。
より多額の予算を確保するには、より多くの迫害者・犠牲者を確保せねばならない。
「パーキンソンの法則」 によれば、仕事は与えられた時間をすべて埋めるよう拡大する。



公民権は法廷弁護士をも惹きつける。
黒人客が
店主に口答えされた、あるいはサーヴィスを拒否された
というニュースは万馬券に等しい。
6人の黒人政府職員に給仕が遅れたとの理由で
デニーズの親会社に課せられた罰は、
295千人の原告団に対する 5400万ドルの賠償金支払いと、
アフリカ系従業員増大及びマイノリティの経営す仕入れ先拡大に関する
NAACP との覚書締結である。



1980年代のジャクソン師によるアンホイザー・ブッシュ社ボイコットは
ずいぶん友好的に解決されたようで、
2000年には彼の 2人の息子ユースフとジョナサンが
シカゴにおける同社最大の独占販売権を握るまでになった。
『シカゴ・サンタイムズ』 の報道によれば、
GTE とベル・アトランティック、AT & T と CTI の合併に 「猛抗議」 をしたジャクソンは、
各社がジャクソン率いる団体に 「寄付」 をし、
「マイノリティ経営者 ―― そのうち何人かはジャクソンのご指名 ―― と取引契約を結ぶように
との (ジャクソンの) 要求をのんだ」 とたん、「不意に矛を納めた」。
策は無数にあるものだ。



キリスト教連合の黒人職員は、
クリスマス・パーティに招かれず、
記念晩餐会でも他の職員のように席につけず給仕をさせられ
精神的苦痛を受けたとして訴えた。
請求総額は ―― 6億2100万ドル。



人種をネタにした組織的恐喝はなくならない ――
それどことかグローバルになりつつある
2001年 9月、国連主催の反人種主義・差別撤廃世界会議が
南アフリカ・ダーバンえ開催された。
目的は ――
「奴隷貿易」 に対する米国の公式謝罪と、
過去の 「人道に対する罪」 への 「金銭的補償」 の確約だそうだ。



ジャクソン師率いる黒人連盟は
国内での成功を世界レベルの成功に広げるため
コリン・パウエル派遣を熱望した。
だがブッシュ政権はこれを拒否、パウエル長官も適当な理由を見つけ固辞した。
会議は結局アラブ諸国に乗っ取られ、
イスラエルの 「人種差別」 「アパルトヘイト」を裁く略式軍法会議に変わり、
米国下級代表団は引き揚げた。
だが奴隷制に対する金銭的補償は今後も叫ばれることだろう
なんといってもこれほど大きく稼げるヤマはそうそうないのだから



人種政治ゲームに巨額の投資を続ける
メディアや民主党、行政府、法廷弁護士、国連、途上国に
われわれはずっと耐え続けねばならない ――
西洋諸国がもううんざり、いちぬけた、と宣言するまで。
蛇に睨まれた蛙に期待するのは無理かもしれぬが。

          ◇


目 次
(
http://hawkmoon269.blog.so-net.ne.jp/2016-08-15  )

日本版まえがき
序として

第一章 西洋の遺言
第二章 子供たちはどこへ消えた?
第三章 改革要項
第四章 セラピー大国はこうして生まれた
第五章 大量移民が西洋屋敷に住む日
第六章 国土回復運動
レコンキスタ
第七章 新たな歴史を書き込め
第八章 非キリスト教化されるアメリカ
第九章 怯える多数派
第十章 分断された国家
著者あとがき
監訳者解説




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