2016.01.04
作家・元外務省主任分析官、佐藤優氏
「第三次世界大戦に発展の恐れも」
(http://www.sankei.com/world/news/160104/wor1601040039-n1.html )
スンニ派の盟主を自任するサウジアラビアと、シーア派の大国のイランの対立は、第三次世界大戦に発展
する危険性さえある。
サウジ大使館襲撃の背景には、イランの国家意思があるだろう。
大使館が焼き討ちされたのに、人的被害がないこと自体が不思議だ。
襲撃が暴徒によるものではなく、指揮命令系統の存在が疑われる。
『ウィーン条約』 で大使館の安全を確保する義務を負っているのに、イラン側には襲撃を本気で防ごうという
意思はみられなかった。
サウジは国内のイラン外交官に 48時間以内の国外退去を要求したが、48時間では秘密文書を処分する
ことはできない。
関係先を捜索し、イランがサウジの政権転覆に関与した証拠を探す狙いがあるのだろう。
イラン側は法学者のニムル師の処刑に激しく抗議したが、シーア派が約半数を占めるサウジの東部で、
ニムル師が暴力的な反体制活動の中心にいたことは間違いない。
両国の対立は、イスラム教スンニ派過激組織 「イスラム国」 (IS) の台頭が引き金になった。
「IS」 は欧米への攻撃が目立つが、「シーア派撲滅」 という宗派闘争の側面が強い。
「IS」 打倒で勢力を伸ばすイランに対し、サウジはアラビア半島がイランの影響下に入ってしまうことだけ
は避けたく、イランより 「IS」 の方がましだと考えるようになった。
米国は今回の事態に何もできないだろう。
イラン人がサウジに巡礼に来た際の衝突などは容易に想像でき、非常に危険な状態になったといえる。
(談)
2016.01.04
ニムル師とはどんな人?
イラン革命防衛隊と密接関係
(http://www.sankei.com/world/news/160104/wor1601040042-n1.html )
サウジアラビアで 1月 2日処刑されたイスラム教シーア派高位聖職者、ニムル師 (56) は、シーア派
が多いサウジ東部で強い影響力を持ち、イラン指導部の親衛隊的存在で対外工作なども行う、「革命
防衛隊」 の“先兵”の役割を担ったともいわれる。
特に 2011年 2月、隣国バーレーンでのデモに触発されたシーア派による反政府デモが起きた際は、
デモ隊への支持を表明し、デモの拡大に大きな役割を果たした。
サウジ当局は 2012年、サウジへの外国の干渉を招き寄せたことや、住民の武装蜂起を扇動したと
する罪などで同師を銃撃の末に逮捕。
これに対し同師の支持者らは、「平和的なデモを呼び掛けただけだ」 と反論していた。(カイロ 大内清)
2016.01.04
バーレーンもイランと断交
隣国サウジに同調 スンニ派の王家
(http://www.sankei.com/world/news/160104/wor1601040047-n1.html )
1月3日、サウジアラビア東部アワミヤで、
処刑されたイスラム教シーア派有力指導者ニムル師の葬儀に参列した人々 (AP=共同)
イスラム教スンニ派の盟主サウジアラビアがシーア派の大国イランとの外交関係を断つと表明したのに
続き、隣国バーレーンは 1月 4日、イランと断交すると発表した。
国営バーレーン通信が伝えた。
同国民の多数はイランと同じシーア派だが、王家はスンニ派でサウジに同調した。
一方、イランのアブドラヒアン外務次官は 4日、サウジの断交表明について 「中東地域を不安定にする
誤った決断」 だとして、強く反発した。
対抗して同様に断交するかどうかは明言しなかった。
イランメディアが伝えた。
過激派組織 「イスラム国」 (IS) をめぐる情勢などに影響力を持つ両国の関係悪化に、各国から
「対立の克服には、外交と直接対話が重要だ」 (カービー米国務省報道官) などと懸念の声が
相次いだ。(共同)
↧
◆ サウジ・イラン断交 (11) バーレーンもイランと断交
↧