◆ サウジ・イラン断交 （５） メッカで繰り返される巡礼事故

2015.09.24
メッカで繰り返される巡礼事故　急ぐ群衆、無秩序に
サウジ国王にとって 「大きな痛手」
(http://www.sankei.com/world/news/150924/wor1509240056-n1.html )


9月24日、サウジアラビア西部メッカ近郊を歩く巡礼者ら （AP）


イスラム教最大の聖地、サウジアラビア西部メッカへの大巡礼で、またも大勢が犠牲となる圧死事故が
起きた。

交通機関が未発達で大巡礼が苦難の旅だった時代、巡礼者は多くても数万人だったという。

その頃と同じ空間に航空機を利用して数百万人が殺到。

先を急ぐ群衆は時に無秩序に陥り、事故を誘発する。


現場となった 「ミナの谷」 では 2000年代に 3 度も同様の事故が起きた。

巡礼最後の儀式を行おうと、大勢が一斉に集中するためだ。

2006年に 360人以上が死亡した事故では、数十万人が長さ数百メートルの橋に集中。

その多くが路上に手荷物を放置したため、つまずいて転倒する人が続出して混乱が拡大した。


当局は事故防止に力を注ぎ、巡礼経路の拡張や、群衆管理に資金を投入してきた。

それでも事故が繰り返されたことは、「二大聖地 （メッカとメディナ） の守護者」 との尊称を持つサウジの
サルマン国王にとって大きな痛手だ。（共同）



9 月24日、サウジアラビア・メッカ近郊のミナの谷で、
悪魔を象徴する石柱に石を投げるイスラム教徒の巡礼者ら （AP）


2015.09.27
イラン大統領、メッカ事故でサウジ批判
「他国との協力不十分」
(http://www.sankei.com/world/news/150927/wor1509270030-n1.html )

イランのロウハニ大統領は 9月26日、ニューヨークで潘基文国連事務総長と会談し、サウジアラビア西部
メッカ近郊で大巡礼 （ハッジ） に訪れた多数のイスラム教徒が折り重なって倒れ死亡した事故について、
不明者捜索などで他国との協力態勢が不十分だったとサウジ政府を批判した。

国営イラン通信が伝えた。

事故ではイラン人約 130人が犠牲となり、300人以上の行方がつかめていない。

ロウハニ師は国連としてサウジに改善を促すよう求めた。（共同）



9月24日、サウジアラビア・メッカ近郊のミナで、
負傷した巡礼者の手当てをする救命救急当局者ら （ロイター＝共同）


2015.10.03
イランで対サウジ強硬論　「必要なら力の行使も」
メッカ事故の遺体帰国
(http://www.sankei.com/world/news/151003/wor1510030059-n1.html )

サウジアラビア西部メッカ近郊で大勢の巡礼者が折り重なって死亡した事故で、犠牲となった約 460人
のイラン人のうち約 100人の遺体が 10月 3日、首都テヘランに搬送された。

イラン学生通信が伝えた。

ロウハニ大統領がサウジ側を強く批判するなど強硬論が高まっている。

テヘラン （メヘラバード） 国際空港で出迎えたロウハニ師は、サウジ側の責任追及に全力を挙げる考えを
強調。

「これまで外交で対応してきたが、必要なら力の行使も辞さない」と述べた。（共同）



9月24日、サウジアラビア西部メッカ近郊で起きた事故の現場に集まった
救急隊員や巡礼者たち （AP）


2015.10.09
メッカ事故の死者 1453人、過去最多に
AP の犠牲者集計
(http://www.sankei.com/world/news/151009/wor1510090071-n1.html )

イスラム教最大の聖地、サウジアラビア・メッカ近郊で 9月に大巡礼 （ハッジ） に訪れた信者多数が
折り重なって死亡した事故で、AP 通信は 10月 9日、死者が少なくとも 1453人となり、1990年に
1426人の巡礼者が死亡した過去最悪の事故を上回ったと報じた。

犠牲者が出た各国の当局発表や報道に基づく集計としている。

サウジ当局の公式発表では死者は 769人、負傷者は 934人。

事故は 9月 24日に発生。

メッカ近郊の 「ミナの谷」 の交差点で、巡礼最終日の主要儀式である「 石投げ」 に向かう人々と、
儀式から戻る人々がぶつかり合ったとされる。



サウジアラビア・メッカ近郊の事故で死亡した信者の棺おけに触れて祈りをささげる
イラン政府関係者ら＝10月3日、テヘラン （メヘラバード） 国際空港 （AP）