世界の原発と地震リスク
アメリカ
2011.03.31
(http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=2011033001&expand#title )
アメリカの年間原子力発電量:
7987億キロワット時
人口: 約3億1400万人
密度: 33.6人/km²
アメリカの原発マップ
(Wikipedia )
福島第一原子力発電所の大惨事により、原子力発電への依存が強い世界各国は地震災害の再評価を迫られている。
しかし、地震によるリスクは、原子力発電量の多い上位10カ国でも大きく異なるようだ。
1979年のスリーマイル島原子力発電所事故以来、アメリカでは新規の建設はストップしている。
しかし、いまだ世界最大の原発大国として他国に大差をつける存在だ。
保有する104基の原子炉の発電量は、2位フランスと3位日本の合計を上回る。
それでも、莫大な電力需要の20%を賄うにすぎない。
アメリカ西部には地震の引き金となる断層が集中しているため、福島第一の事故を目の当たりにしたアメリカ政府がカリフォルニア州の2基の原発を不安視するのも当然といえる。
サンクレメンテのサンオノフレ原子力発電所と、アビラビーチのディアブロキャニオン原子力発電所は沿岸部の断層近くに立地しているのだ。
ノースウェスタン大学地球惑星科学部の地震学者セス・スタイン氏によると、北アメリカプレートと太平洋プレートが衝突する西部は、東部と比較して地震危険度が約5倍高いという。
同氏は、アメリカ中西部の地震危険度に対する認識が変化している最新の科学的知見を示した書籍『Disaster Deferred』の著者。
その中で、原子炉が集中する中部および東部の一部でも地震の危険は存在すると述べた。
例えば、サウスカロライナ州チャールストン、マサチューセッツ州ボストン、ミズーリ州ニューマドリッドの付近で大規模な地震が過去に発生している。
福島第一事故のはるか前からアメリカでは、エネルギーと核の規制当局や非営利の業界団体「電力中央研究所(EPRI)」が、中央部・東部の新たな震源地の特徴を調査していた。
作業は今年(2011年)後半に完了する予定だ。
なお、アメリカで最も地震が多いアラスカ州に原発はない。
それで、「調査」が完了したからでしょうか、過日、34年ぶりの新規原発建設が発表されました。
先日、秋田で日本では初の〈シェールオイル〉の採取に成功して、大いに盛り上がりましたね。
アメリカなどでも大々的に採掘されているニュースがあったのですが、
実は、すでに、下火になりそうな気配なのです・・・
なぜか?!!
シェールガスに暗雲、米国干ばつの影響
2012.08.08
(http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=2012080801&expand#title )
アメリカ、ペンシルバニア州ブラッドフォード郡で、
埋蔵天然ガスの水圧破砕(フラッキング)作業を行う採掘業者。
干ばつの影響で河川の水量や地下水位が低下し、同州の多くの地域ではフラッキングの水使用が停止されている。
取水停止措置がとられたのは、サスケハナ川流域のペンシルバニア州13郡とニューヨーク州1郡。
2008年6月にフラッキング用の取水が許可されて以来、最も厳しい制限だという。
フラッキング1回あたり、約1万5000キロリットルの水と複数の化学物質が消費される。
地下に高圧注入して岩石層を砕き、クラック(割れ目)を作って天然ガスを噴出させる手法が普及。
埋蔵量の豊富なアメリカでは、新しい国産エネルギー源「シェールガス」として近年注目されている。
しかし、環境保護団体からは、
「水供給や健康への悪影響など、危険性を看過できない」
と非難の声が上がっている。
天然ガス採掘でメタン汚染の可能性
2011.05.10
(http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20110510001&expand#title )
柔らかい岩石層「シェール層」を採掘して天然ガスを生産する手法が近ごろ注目されているが、それに伴う環境汚染も明らかになってきた。
最新の研究では、シェールガス採掘地域の飲み水へのメタン流出を示すデータが初めて体系的に収集され、従来の想定よりはるか遠方でも着火濃度のメタンが検出されている。
アメリカにあるデューク大学の研究チームは、ペンシルバニア州北東部の60カ所の家庭用井戸からサンプルを採取した。
同地では、地下に堆積するシェール層に天然ガスが豊富に存在し、水圧破砕法(フラッキング)によって採掘が進められている。
報告によると、操業中のガス採掘地では、ガス井に近いほどメタン濃度が上昇しており、また、ある採掘地から1キロ離れた場所でも、着火濃度のメタンを含む飲み水が確認されたという。
採掘地付近の井戸と遠い井戸を比較すると、平均17倍のメタン濃度が検出された。
水圧破砕法は、地下深くの岩石層に水を押し入れ、岩石がひび割れるまで圧力を高め、天然ガスを解放する手法である。
環境面の問題が指摘されており、今回の研究もそれを裏付けている。
アメリカやカナダでは、過去6年間にわたるこの新技術の成功実績により、広大な天然ガスの新貯蔵庫の扉が開け放たれた。
シェールガス開発が順調に進めば、2035年にはアメリカの天然ガス生産の45%を占めると見込まれている。
アメリカ政府は、世界32カ国でも同様のシェール層が利用可能だとする報告を発表した。
しかし、天然ガスの主成分メタンによる飲み水汚染がクローズアップされている。
本年度(2011年度)のアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にノミネートされた映画『ガスランド』では、民家の水道水が燃える印象的なシーンが注目を集めた。
研究チームのリーダーを務めたデューク大学の環境科学者ロブ・ジャクソン氏は、
「シェールガス採掘を今後も続けていくためには、監視体制の拡充、知識の蓄積、そしておそらくは規制強化が必要となる」
と述べる。
メタン汚染の原因が、ガス採掘以外に存在する可能性も残されている。
今回の研究では、採掘地からの距離に関わらず、サンプルを採取した井戸の大半でメタンが検出された。
ただし、距離とメタン濃度には確実な相関関係が認められている。
流出の可能性を認める採掘業者もあり、不適切なガス井建設が原因だと主張している。
ジャクソン氏は、
「ガス井の掘削中、セメントのケーシングに穴が開く可能性はある。その場合は手順を改善すれば解消するだろう。また、手順は適切でも現場が無視しているケースもありうる」
と話す。
ただし、天然ガスの漏洩にはもう一つの経路が考えられる。
それは、水圧破砕法そのものがガス貯留層に亀裂を生み出し拡大している場合だ。
メタンはこの亀裂から岩石層を通り抜けて上方に逃げ出すことができる。
研究チームは、「可能性は少ないがゼロではない」としている。
採掘業者はこの可能性を否定するが、ここで問題なのは、ガス鉱床と地下水の間に存在する岩石の性質が十分に分析されていない点である。
どの州政府も、ガス会社に対して地質分析の実施を義務付けていない。
一部の採掘業者は環境保護団体と協力して自主的に規制案をまとめ、州政府に提示している。
他方、アメリカ環境保護庁(EPA)は、水圧破砕法が飲み水と地下水に与える影響について調査を続け、連邦レベルの規制が必要かどうか注視している。
今回の研究で、天然ガス産業にとって良いニュースが一つだけあった。
どのガス井においても、水圧破砕用の化学処理された水や、採掘後に生成される塩分を含んだ液体からメタン汚染の証拠が発見されなかったのである。
メタンは、飲み水に関して規制対象となる汚染物質ではない。
密閉空間で窒息や爆発の原因となることは知られているが、水の色や味、臭いを変化させるわけではなく、飲料適性に影響を与えるのかどうかもわかっていない。
また、低レベルのメタン暴露が長期的に続いた場合に、人体へ現れる影響を分析した研究は一つもない。
「健康への影響がわからないとは、驚くべきことだ。メタンは確かに飲み水に含まれている」
とジャクソン氏は憂慮している。
こういったこともあって、アメリカは原発の新設に踏み切ったのでしょうか。
あと、「風力発電」と「太陽光発電」があります。
次のページでは、そのニュースも見てみましょう。
その前に、秋田で日本初のシェールオイル採取のニュースも。
国内初、秋田でシェールオイル採取成功
石油資源開発
2012.10.03
(http://sankei.jp.msn.com/life/news/121003/trd12100310570003-n1.htm )
資源開発大手の石油資源開発は3日、秋田県由利本荘市の鮎川油ガス田の地下約1800メートルから、岩盤に含まれる新型の原油「シェールオイル」の試験採取に成功したことを明らかにした。
原油の成分を詳しく分析し、2013年度にも新たな油井を掘って試掘を本格化する。
日本国内でシェールオイルの取り出しに成功したのは初めて。
シェールオイルは、シェール層と呼ばれる地中深くの岩盤に含まれる。
同社は深さ約1800メートルにある岩盤に塩酸などをポンプで送り込み、原油が出る隙間をふさぐ石灰岩などを溶かす作業を実施。
3日朝に油井から採取した液体を遠心分離器で分析し、原油が確認された。
鮎川油ガス田周辺のシェールオイル埋蔵量は約500万バレルと推定されている。
シェールオイルは北米で既に本格的な生産が始まっているが、日本では採算性の問題もあって着手されていなかった。
同社は、既存の油ガス田を利用することで開発コストの低減を図るものの、実際に事業化して採算がとれるかは不透明。
「今後、原油を採取できる量やスピードなどを確認し、研究を進めたい」(広報IR部)としている。
地殻を構成するプレート群
色分けされた領域が一枚のプレートである。例えば太平洋プレートは肌色で示されている。
(Wikipedia )
地震の分布図
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(1637) アメリカ。34年ぶりの原発新設はなぜなのか?<世界の原発と地震リスク>
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