【東を向くロシア プーチンの思惑】
(3)荒廃する農地、中韓貸与に葛藤
2012.08.18
(http://sankei.jp.msn.com/world/news/120818/erp12081815210004-n1.htm)
「ソ連時代にはこの広大な一帯でスイカやトマトが栽培されていたのだが、
今は1ヘクタールも耕されていない。
中国人なら所狭しと作物を植え付けるだろう」
ロシア極東沿海地方のウラジオストクから約250キロ。
中国国境に近いハンカ湖周辺を車で案内しながら、バシルさん(57)は何度も嘆いた。
地平線まで見渡す限り草むらという単調な光景が広がる。
ハンカ湖近くの沿海地方スパスク地区で
約700ヘクタールの農地を借り、稲作の農場を経営している。
だが、農場に出資しているのは中国人で、バシルさんは「雇われ経営者」といった方が正しい。
農場で働く約30人のほとんども中国人だ。
「稲作はたいへん骨の折れる、農業の中でも特殊な領域だ。ロシア人は働きたがらない」。
毎年、地方行政府に申請して外国人労働者の割当枠を配分してもらい、
中国人労働者を月給1万~1万2千ルーブル(約2万5千~3万円)ほどで雇用しているという。
ソ連時代には米や大豆などの有数の生産地として知られた沿海地方。
だが、ソ連崩壊後に農地は荒廃の一途をたどり、今や耕地の半分以上が放置されている。
ソ連崩壊に伴い、国の指令に基づく集団農業体制が壊滅しただけではない。
ソ連時代に存在した「辺境」住民向けの“割り増し給与”といった
人工的な版図維持装置もなくなり、極東一帯から人口が流出した。
極東連邦管区ではこの20年で人口が約2割減少したと推定され、
地方レベルでは
すでに中国人の受け入れによって労働力の穴を埋めている実態があるのだ。
沿海地方スパスク地区の農場で働く中国人労働者(遠藤良介撮影)
■ ■
沿海地方スパスク地区行政府のシドロワ農業部長(50)は、
「外国人労働者の割当枠は厳格に管理されており、
(同地区の)農業に占める中国人はせいぜい10%だ。
外国人に直接、農地を売却することも認められていない」
と述べ、中国人の“浸透”に対する警戒論を一蹴した。
極東での農業には韓国も関心を寄せる。
在ウラジオストク韓国総領事館によると、
この4~5年で
現代重工業など8つの企業や団体が、ロシアとの合弁企業を設立するなどして
沿海地方の農業に参入した。
総領事館の担当者は、
「韓国では穀物自給率が約30%と低く、韓国政府としても海外での生産を後押ししている」
と話す。
現時点ではロシア国内で生産された農産物はロシア市場向けに出荷されているが、
「将来的に南北朝鮮が統一された場合、食糧問題はいっそう深刻になる」(同)
という事情も(韓国政府は)見越している。
■ ■
こうした流れを受け、
9月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、
ロシア政府が外国企業への大規模な農地貸与政策を打ち出すとも報じられた。(※)
(米:この報道は正式に否定されました。
だが、極東随一の農産地、アムール州はそうした施策に慎重だ。
同州のゴレボイ対外経済相(43)は、
「われわれに必要なのは資本と技術力であり、農地を外国企業に貸し出す計画はない」
と指摘。
その代わり、アムール州では
農場に加工や物流の拠点を備えた「農業パーク」の創設構想があり、
日本の資本参加を期待していると語った。
極東各地では
過去に、中国系企業が短期間に収穫高を上げようと化学薬品などを大量に使い、
土地の疲弊や環境汚染を招く「収奪農法」が批判されてきた。
このため、外国企業の関与は、
合弁会社の設立など資本参加に限定すべきだという意見も強いのだ。
農地荒廃に悩み、さまざまな意見が交錯する極東。
その姿は、広すぎる国土を抱えるロシアの矛盾の根深さを映し出している。(遠藤良介)
「農地貸与」否定
ロシアのAPEC担当大使
2012.08.30
(http://sankei.jp.msn.com/world/news/120830/erp12083021210003-n1.htm)
【モスクワ=遠藤良介】
ロシアが9月上旬、極東のウラジオストクで開催する
アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議をめぐり、
ロシアのオベチコAPEC担当大使は、8月30日、
同国が極東農地の大規模な貸与計画を打ち出すとした
過去の一部報道を否定した。
極東では、大量の耕作地が放置されており、
ロシアが外国企業への長期貸与をAPECで提案する
との高官の発言が伝えられていた。
農業分野への資本や技術の導入については
食糧安全保障に関する文脈で議題になるという。
なんだか、ロシアではなく、日本の農業のような気持ちになる記事でした(^^;
当地でも私が子供の頃は、夏ともなると見渡す限り西瓜畑が広がりました。
今は、休耕畑が広がります。
数えられるくらいの農家がその休耕畑まで借りて大々的に耕作している西瓜は
まだ梅雨の真っ最中に最盛期を迎え、
本当に冷えたスイカを食べたい真夏になると、山県だの北海道だののスイカを食べます(^^;
数年前までは、
南米だの東南アジアだのモンゴルだのからの出稼ぎの人たちを雇う農家が多かったですが
不景気の所為か、最近は時折りシルバー人材を見かけるくらい。
その分、出稼ぎに来てそのまま結婚したのか、
東南アジア系とおぼしきママさんが子供の手を引いたりしている姿をよく見ます。
聞いたわけではないですが、雰囲気が農家のお嫁さんという感じなのです。
親類では5町歩の畑を家族だけで耕作していて年収はほぼ3千万円くらい。
でも、軽トラやトラクターに始まって、機械モノがギッシリ。決して裕福ではないと思います。
二番成りのスイカが50円とかで売っていた時代、
セレブではなかったけれど、日本人の心は豊かだったような気がします。
今は、一番成りだけを収穫して、直ぐに木を片付けて、人参の耕作を始めます。
当地は田んぼがないので稲作についてはよく分かりませんが
畑ほどではないものの、やっぱり何かと大変らしいです。
かくして日本の食糧自給率、40%。
韓国は日本を真似して発展しましたから、国土が狭い分、もっと低く、30%。
うーん・・・中国と争っちゃいけないのかも\(◎o◎)/!
政府の農業対策がどうこうではなく、
日本人が贅沢に慣れちゃったということが大きいと、私は思います。
そしてその為の流通。
箱に詰めてコンテナトラックで運ぶには、サイズが揃っていないとダメなのです。
政府はムダに助成金をバラまいているワケではなく、
万が一、何かがあった時、畑や田んぼがないと、日本国民が餓死するからです。
だけど草ボウボウで放置された田畑では、満足な収穫を得られるまで10年くらいかかる。
それを待ってる間に餓死します(^^;
そのために、休耕田畑を借りて家畜の飼料にする米を耕作している会社があります。
飼料ですから、コシヒカリだの田沼だの田牧だのじゃなくても良く、
大量に収穫できる品種を栽培します。
そのタネが飛んでブランド米と交配しちゃったりしない工夫もされているようです。
そしてその大量米で育った家畜の肉を販売する。
素晴らしい試みで感心しました。
政府はそういうアイデア農業に交付金を渡すべきでしょう。
そうすれば賃金も上がって、外国人出稼ぎ者だのシルバーだのに頼らなくても
若者の雇用が促進されるんじゃないかな。
その昔、日本の60%は農民だったのだから。
ついまだ、50年くらい前の話ですよw
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