一筆啓誅 NHK殿
(1) 感動した三月十一日放送の歌劇『古事記』
(http://hawkmoon269.blog.so-net.ne.jp/2012-06-18-1)
(2) 若い世代のために再放送すべし
(http://hawkmoon269.blog.so-net.ne.jp/2012-06-19)
(3) 「日本人は何を考えてきたのか」に見る恣意
(http://hawkmoon269.blog.so-net.ne.jp/)
(4)巧妙な騙しのロジック-無視された尊皇意識
(http://hawkmoon269.blog.so-net.ne.jp/2012-06-19-2)
『正論』2012年5月号より
一筆啓誅 NHK殿
皇學館大学非常勤講師
本間一誠
日本といふ国や天皇が本当に嫌ひな人々
「日本人は何を考えてきたのか」の第二回は「自由民権 東北から始まる」である。
第三回、第四回も問題を孕むが、紙幅の都合上論評は省く。
第二回における解説者は
東京経済大名誉教授 色川大吉(民衆思想史)
東北大名誉教授 樋口陽一(憲法学)
の二氏である。
解説者の名前を見て、番組を見ない前から内容は凡そ推測がついたが、やはり予想通りの展開だつた。
私は特にこの第二回の内容を見て、改めてNHKの内部に左翼勢力が深く浸透してゐるのを実感し、危機感よりもむしろ、このまま行けばどうなるのかと慄然たる恐怖すら覚えた程である。
多分このシリーズはかういふ反日、反国家、そして秘かではあるが確信的な反天皇のスタンスで作られていくに違ひない。
そこで、この二人の学者の考へを端的に分かりやすく表現してゐる文章を引用しておかう。
昔、昭和五十年代も初めの頃のことになるが、勤務してゐた高校で夏休みの読書感想文用推薦図書の一冊に色川氏の『ユーラシア大陸思索行』といふ紀行文があつた。
題に惹かれて初めて色川氏の本を読んだが、書中に立ちこめる日本への呪詛の瘴気に辟易した記憶がある。
「あの小さな島国、奇妙な天皇島での人間と人間との甘え、人間と自然とのなれなれしい内縁関係、そして、その人と人との間にある感情過多に自己嫌悪をもよおす。
私自身、あのような精神風土にどっぷり首までつかって生きてきたのだ。
そのため、私の五体は、今では臓物の内側にまで蘚苔類が生えてしまった」
云々。
今も日本を「奇妙な天皇島」と見なす氏の気持に変わりはあるまい。
その後必要あつて同氏の「明治精神史」を読んだが同じ印象だつた。
樋口陽一氏は『先人たちの憲法観-個人と国体の間-』(岩波ブックレットNo.518)の『はじめに』にかう書いてゐる。
「私が『憲法』というとき、何をそのエッセンスとして考えているか。
日本国憲法の条文のうち一番肝腎なものを言えといわれたら、私はためらいなく『個人として尊重される』としてゐる第十三条を挙げるでしょう。
日本国憲法がそこにつながっている近代立憲主義とはつまるところ、一人ひとりの個人がその生き甲斐をよりよく追求できるためにこの世の中を近づけてゆこう、という考え方です。
それに対し、日本の近代を通して立ちはだかってきたのが『国体』という考え方です」
学士院会員であるこの人も歴史的日本と天皇は否定の対象なのだ。
氏の著では、国より個人が先にあり、日本は単一民族国家ではないから、国が出て来て国旗国歌法を定めるのは誤りと言ふ。
『赤い地下水脈の称揚に加担』に続く。
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(1461) 一筆啓誅 NHK殿(5)日本といふ国や天皇が本当に嫌ひな人々
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