『正論』 2012年5月号より
歴史捏造への反撃
「日本は自衛のために戦った」
マッカーサー証言を取り上げた
都立高校教材の衝撃
「歴史」と「真実」
野田 数
『江戸から東京へ』の主旨は素晴らしく、私たちも期待したのですが、読んでみると、いろいろと問題がありました。
そこで都教委に働きかけて、広く都民から意見を募って内容を変えていこうということになった。
私も日本教育再生機構の指摘を踏まえて、一都民の立場で都教委に提言しました。
そして、今春(2012年)の全1年生約4万3千人に配る24年度版(以下改訂版)ができました。
その中で、23年度版(以下旧版)では「五箇条の誓文」となっていた記述が、改訂版では「五箇条の御誓文」と修正されました。
八木秀次
「御」を付けないのは、共産党の反皇室用語なんです。
猪瀬直樹
歴史的事実は「御誓文」だよ。
野田 数
そういう細かなところにまで左翼思想が入り込んで、伝統を歪めるんです。
明治天皇の御真影も掲載されていなかったので、掲載するようお願いしたところ、改訂版に写真は載ったんですが・・・。
八木秀次
エドアルド・キヨッソーネが描いた有名な肖像画ではないんですけどね。
猪瀬直樹
それは、キヨッソーネの肖像画を載せるべきだろう。
なぜ明治天皇が西洋人風に描かれたのか。
そこに大きな意味があったのに、写真ではそれが分からない。
要は「天皇家」が率先して西洋の文化、近代の文化を採り入れたわけ。
現在の神前結婚式も、キリスト教をまねて、大正天皇の結婚式で初めて行われたんだよ。
当時の日本は、欧米諸国にアジアの遅れた国だと思われている状況からいち早く脱却する必要があった。
不平等条約もあったし、そうしないと生き延びることができなかった。
だからあの西洋風の御真影が描かれ、広まったのに。
最も有名な御真影。
キヨッソーネによって描かれたコンテ画を、丸木利陽が写真撮影したもの。
明治21年(1888年)1月
Wkipedia>
八木秀次
明治天皇の御顔を直接知る人は、当時はごく少数でしたからね。
猪瀬直樹
「真実」を教えるために写真を掲載したんだろうけど、御真影が「歴史」なんだよ。
歴史の捉え方を分かってない。
学校や家庭に飾られて、国民の共同幻想をつくったのは、キヨッソーネの肖像画だよ。
メディアとしての明治天皇と言ってもいい。
国民が明治天皇を偉くて立派な存在だと見ていたことが大事で、日露戦争も明治天皇のために頑張ったという側面があった。
少年ぽさも残るこの写真では、そういう国民感情は理解できないよ。
明治天皇の肖像画が忘れられたら、僕の本のモチーフがわからない(笑い)。
八木秀次
『ミカドの肖像』(小学館文庫)ですね。
猪瀬直樹
西郷隆盛の写真は掲載されているの?
野田 数
上野の銅像の写真がありますが、勝海舟の扱いが極めて小さいのです。
八木秀次
勝海舟はいま、教科書全般で嫌われているんですよ。理由は不明ですが。
猪瀬直樹
それでは江戸城無血開城がどう行われたのかも分かんないよ。
野田 数
東郷平八郎元帥も一文があるだけで、乃木希典大将は出てきません。
猪瀬直樹
乃木が殉死したことも教えないの?
八木秀次
そうです。
明治という時代の終焉が分からないでしょう。
猪瀬直樹
夏目漱石の『こころ』も理解できないよね。
乃木の殉死があって、あの小説ができたのに。
駄目だな。
この教材も一般の教科書もそうだけれど、歴史上の人物の紹介が少ないなあ。
八木秀次
歴史を社会科学的に捉えようという考え方に基づいていrのだと思いますね。
マルクス主義史観の残滓(ざんし)です。
それと教職員組合が批准している平等教育、個性偏重教育も影響もあります。
差別につながる、生きるうえでのモデル、道徳の押しつけになるからといって偉人は教えない。
そんな風潮が強まっていて、
いまは学校の図書館からも
偉人伝や
伝記が
姿を消しています。
猪瀬直樹
だから日本でリーダーが育たないんだろうな。
野田 数
神社も紹介されていません。
乃木神社、東郷神社、靖国神社。
なぜか砂川闘争(昭和30年に始まった米軍砂川基地の拡張計画に反対した左翼の闘争)の舞台となった、阿豆佐味天神社は出てくるのですが。
八木秀次
明治神宮も場所としては出てきますが、明治天皇と昭憲皇太后をお祀りしているといった説明はまったくありません。
野田 数
旧版は領土問題という肝心なことも書いていませんでした。
改訂版には、「竹島は韓国が不法占拠し、尖閣諸島は中国が国際法上有効な根拠なしに自国領土と主張している」と加筆していただき、北方領土がロシアに不法占拠されていることも書き加えてもらいました。
八木秀次
今年(2012年)1月26日の教育委員会定例化で、『江戸から東京へ』改訂版が議題となり、委員の川淵三郎・日本サッカー協会名誉会長が、北方領土の記述を確認して、褒めたそうです。
ぎりぎりセーフでした。
野田 数
旧版には、こんな記述もありました。
「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)とは、2002年(平成14年)9月に小泉純一郎首相が日朝平壌宣言に調印し、国交正常化交渉が再開されたが、拉致問題などにより交渉は進展してない」と、拉致問題が国交交渉の障害のように書かれていました。
猪瀬直樹
それはダメだろう。
野田 数
いわゆる親北勢力の言い分のように聞こえます。
拉致は解決ずみ、あるいは日本は過去に強制連行という悪行をしたんだから文句を言わずに、北朝鮮との国交を正常化して支援しろと。
猪瀬直樹
この教材を書いたのは、みな都立高校の教師だけれど、まじめに勉強をしてきて、ある意味融通が利かない。
なんでも平等という話が出たけど、驚いたのは、子供に男の子も女の子も別なく「さん」付けで呼ぶようにしているんだよ。
八木秀次
ジェンダーフリー教育ですね。
男女の性差は後天的・社会的に作られたもので、それを押しつけるのは女性差別だとする歪んだフェミニズムに基づく教育です。
教職員組合を通じて一気に現場に広まり、「男らしさ」「女らしさ」を教えるのも差別だと言われていました。
都教委が是正を指導して、組合活動などを除いては下火になったはずですが、一部にまだ残っているんでしょう。
猪瀬直樹
偉人も教わらず、男らしさ、女らしさも否定されたら、子供たちも何を自分のモデルにしたらいいのか困るだろう。
そもそも、みんなが平等な世界なんて一般社会とかけ離れているだろ。
厳しい競争があって、成功や挫折がある。
それが現実の社会なのに、まるで別世界。
教育の世界は、外の世界と弧絶したガラパゴス島になってしまっているんだね。
教育ガラパゴス。
まさに悪しき戦後民主主義だけれど、この教材の教師たちも、その枠の中だけで書いていて、自分では偏っているとは思ってないんだろう。
自虐史観払しょくへの大きな一里塚 につづく
いやあ、学校の図書室から、偉人伝や伝記を葬り去っていたとは、知りませんでした。
子供達は、まっさらな世界で、まっさらに育てなくてはいけないというワケですね。そうすると、持って産まれた動物の本能だけが、きちんと育っちゃうんですけどねw
しかしあのジェンダーフリーってやつを唱えてるヤカラって、生物の勉強とかしてないんでしょうね。人間は♂と♀があって、生殖器が違ってて、分泌されるホルモンの量が違うなんてことは知らないのでしょう。
たま~に両方を持っていたり、あるいはホルモンバランスが反対だったりする人もいますが、それは地球上の70億人余の中の微々たる数であって、一般的には、まっさらの中で育てても、男は男になっちゃうし、女は女になっちゃいますwww
そして♂は、出来る限り遠くへ、出来る限りいっぱい、自分の遺伝子を飛ばそうとする本能から、世の中を広く見渡すことが出来、先を見通すことも得意です。
♀は、出来る限り着飾って、出来る限り優秀な♂の目につくように振る舞い、メデタク身籠って子供を産むための場所を、出来る限り快適に整えようとしますから、目線は自分が中心であり、半径1mくらいしか目に入りませんw
この自然の性質は、♂が子供を産むようにならない限り、変わらないと思います。
そして♀が、どれほど♂と対等の能力や体力があったとしても、出産というものを切り捨てない限りは、出産の最中に取引先と商談をやってるワケにもいかないと思うので、♂と同等には成りえないのです。
なんてことより、早い話が、ズボンをはいたまま、道端でちょいと立ちションベンが出来るか出来ないか、ですねwww
いや、ヤカラは知っているからこそ、その“差”をなくすために、男を出産の場に立ち会わせようと画策してたワケか・・・あれって夫婦愛とかなんとか感動物語にしてますけど、実は、子供にとって物凄い影響があるんですよ。
アヒルのヒヨコなんかが知られてますけど、動物は産まれて最初に見たものを親だと思う。人間の場合はオッパイを飲みますから、産まれて最初に母親を見るワケです。
ところが、母親が二人いるんです。
父性の失墜であり、子供はどこかに空洞を持ったまま成長するのです。
飲んだくれだろうと蒸発しちゃおうと何だろうと、父性の存在があるのと、無いのとでは、潜在的な安定感が違うのです。自然界ではそれが自然と分かっていたから、今でも、アフリカなどには、出産の小屋を立てて、男を絶対に近づけない部族がありますが、日本でもヘンな流行が入るまでは、そうでした。
どうしても出産に立ち合いたかったら、昔は、産婆が間に合わなくて亭主が取り上げたなんていう話がありますけど、そんな立場で立ち合って下さい。
これと似た話で、スウェーデンあたりは社会保障がしっかりしていますから、シングルマザーなんてのも多く、特に困ることもなく子供を育てているのですが、その子供が思春期あたりになると、自分のルーツを求めて父親探しに出かけたり、放浪の旅に出かけたりする、家出が、非常に多いそうです。
父は母にはなれず、母は父にはなれず、しかし子供は両方を求めるのです。いくらジェンダーフリーを推し進めたところで、この生物の自然の摂理を変えることは出来ないと思います。
そういえば、カップル同士がすれ違った時、男は別のカップルの女に目が行くのは当然だと思えますが、女も、別のカップルの女に目が行くのが圧倒的に多いって、知ってますか?
男は誰にも見て貰えないのねぇ・・・って話じゃありませんからねwww
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(1430) 「歴史」と「真実」
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