日米同盟もちろん大切だが・・・
2011.10.02
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111002/plc11100203440000-n1.htm
航空自衛隊の、次期主力戦闘機(FX)選定で、候補になっている3機種の機体性能や価格が2011年9月26日に、米英両国の3企業から提出され、決定に向けての作業は大詰めを迎えた。
本命視されてきたのは、レーダーに探知されにくい第5世代のステルス機F35(開発主体=米ロッキード・マーチン)である。
F-35 Lightning II
Wikipedia より
日本の民主党政権下、普天間飛行場移設問題の迷走で、日米同盟の根幹が揺らいだ。
東日本大震災で米軍は「トモダチ作戦」を展開し、被災者を支援した。
こうした政治状況を考慮すると、選択肢は日米同盟を重視して、F35か、第4+世代のFA18(同=米ボーイング)に絞られるだろうと外交筋は語る。
第4・5世代の欧州共同開発機ユーロファイターはすでに選外という見方もある中で、英国から3年間にわたって取材した結果、気づいた問題点を指摘しておきたい。
もともと今回の選定は、空自が防空能力を重視したため、空対空の戦闘で圧倒的な強さを誇る米最新鋭ステルス戦闘機F22で決まるはずだったが、高コストを理由に製造中止になった。
次にステルス性を持つ多用途のF35が浮上したが、開発費の上昇や機体の不具合などで開発が遅れに遅れ、日本側が条件とする2016年度中の納入が微妙な状況になっている。
超軍事大国・米国でさえ金融・経済危機の後遺症にあえいでいることがFX選定にも影を落とす。
インドとの差を痛感
2011年7月、英空軍基地での国際航空ショーを見学した際、インドからの一行に出くわした。
インド空軍は、旧ソ連製ミグ21の老朽化で、戦闘機126機の調達を、100億~120億ドルで計画している。
ユーロファイターやFA18、F16、ミグ35、フランス製ラファール、スウェーデン製サーブ39の計6機種が名乗りを上げ、2008年4月、米欧露6社から機体性能などの提出を受け、2009年5月まで性能面での比較・検討を行った。
実戦を想定して、2009年8月から2011年3月にかけ、インド南西部バンガロールの高湿度地域、北西部ラージャスタン州の砂漠、北部ラダックの山岳地帯で、6機種の飛行や爆弾投下試験を繰り返した。
チェック項目は実に643を数えた。
米印関係の改善や、オバマ米大統領の売り込みにもかかわらず、2011年4月、米国の2機は落選、欧州のユーロファイターとラファールが最終選考に残った。
駐印米国大使も詳細な試験結果を見せられ、反論の余地がなかったという。
一方、島国の日本は国防にとって最も重要といわれる主力戦闘機の機種を、わずか3カ月で決める。
空自関係者がユーロファイターやFA18に試乗しているが、インドのような実戦向け試験飛行は実施しない。
急激な軍拡を遂げる中国の圧力に直面する、同じ状況にありながら、日本とインドの選定の差にがくぜんとさせられる。
“日の丸戦闘機”の夢
米国の戦闘機開発能力は優れているが、欧州も共同開発で追い上げ、以前のように欧州の戦闘機を当て馬扱いはできない。
日本がまずFA18を購入し、将来、F35の導入を目指すなら、ユーロファイターを推す英政府に、落選の理由を納得させる必要がある。
性能面で“重量級”のFA18に比べ、“中量級”でまだ発展途上のユーロファイターの優位は明らかだからだ。
中国が欧州連合(EU)に武器禁輸の解禁を働きかける中、最後のとりでともいえる英国と、無用の波風を立てるのは、賢明ではない。
イギリス、イタリア、スペイン、ドイツの四カ国が共同開発の、Eurofighter Typhoon
日本では、日米共同開発機F2の生産が、2011年9月で終了し、戦闘機を生産しない空白期間が生じる。
英防衛大手BAEシステムズは、ユーロファイターのライセンス生産を認めた上で、「ブラックボックスなし」を強調する。
FA18もライセンス生産可能だが、組み立てにとどまる可能性があり、F35やFA18が選定された場合、技術者の散逸や下請け業者の撤退で、“日の丸戦闘機”の夢はついえるとの危惧が広がる。
将来、F35の共同開発に参加するにしても、武器輸出三原則との調整が課題として残る。
アルーン・プラカシュ元インド海軍幕僚長は、
「私が決定権者なら、まず日本の防衛産業に国産戦闘機の開発・製造を命ずる。
それがダメならFA18を調達し、将来はF35を国内生産する。
米国は日本の同盟国だ。異なる複数の国から戦闘機を購入するのは賢明でない」
と指摘する。
それでも指摘しておきたいことがある。
英国のユーロファイター製造工場を訪れたとき、ドライバーでネジを締める工員の真摯(しんし)な姿に驚かされた。
彼らは15歳で中学校を卒業した後、定年まで同じ工場で勤め上げる。
国防の根幹は自主防衛力であり、それを支えるのは国内防衛産業である。
その誇りがいったん散逸すれば、元に戻すのは難しい。
最後の一文が重いですねぇ・・・
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(1387)主力戦闘機の選定。インドは3年、日本は3カ月で、決定。
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