【米朝首脳会談】
安倍晋三首相「首脳署名文書、残してほしい」
トランプ氏に4月会談で助言…
過去の「合意」教訓に
2018.06.17
(www.sankei.com/politics/news/180617/plt1806170006-n1.html )
4月17日、会談でトランプ米大統領と握手する安倍首相
=米フロリダ州パームビーチ(共同)
安倍晋三首相は16日の読売テレビ番組で、今年4月の日米首脳会談の際、トランプ米大統領に、米朝首脳会談の成果として両首脳の署名が入った文書を残すよう求めていたことを明かした。
首相は番組で
「1994年の米朝枠組み合意も、
2005年の核合意も
米朝両首脳がサインしたものではない。
だから簡単にほごにされてしまった」
と指摘。
トランプ氏に対し
「あなたと金正恩朝鮮労働党委員長がサインする文書を残してほしい。
重みがある」
と訴えたと説明した。
「非核化に向けて土台できた」
米朝両首脳の共同声明に CVID(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)が明記されていないとの批判には
「私も入れるべきだと思った」
とする一方、
「非核化に向けて土台を作ることはできた」
と評価した。
非核化に向け国際原子力機関(IAEA)が行う査察の費用について
「核の脅威がなくなることで平和の恩恵を受ける日本が負担するのは当然だ」
との認識を示した。
北朝鮮への直接的な経済支援については
「日本人拉致問題が解決されなければ行わない」
と明言し、核廃棄にかかる費用が必要な場合も
「北朝鮮に出すわけではなく、例えば機構をつくって進めていく」
と述べ、国際的枠組みを設ける可能性に言及した。
日朝会談「やみくもに行うのではなく…」
首相は金氏を「大きな決断ができる人物」と表現し、
「相互不信という殻をお互いに破って一歩踏み出したい。そして解決したい」
と述べた。
ただ、日朝首脳会談については
「やみくもに行うのではなく、拉致問題の解決に資する会談にしないといけない」
と慎重な態度も見せた。
河野洋平元衆院議長が拉致問題より国交正常化や戦後賠償を優先すべきだと主張したことに対し
「北朝鮮に大変なサービスをされている。
そういう発言は交渉力をそぐ。
大先輩だから、大変残念だ」
と述べた。
トランプ氏が言及した米韓合同軍事演習の中止については
「信頼を醸成するための善意」
とし、北朝鮮が非核化に向け迅速に行動することが重要だとの認識を示した。
同時に
「在韓米軍を縮小するということでもない。
日米の共同軍事演習なども今までのままだ」
と強調した。
安倍晋三首相「首脳署名文書、残してほしい」
トランプ氏に4月会談で助言…
過去の「合意」教訓に
2018.06.17
(www.sankei.com/politics/news/180617/plt1806170006-n1.html )
4月17日、会談でトランプ米大統領と握手する安倍首相
=米フロリダ州パームビーチ(共同)
安倍晋三首相は16日の読売テレビ番組で、今年4月の日米首脳会談の際、トランプ米大統領に、米朝首脳会談の成果として両首脳の署名が入った文書を残すよう求めていたことを明かした。
首相は番組で
「1994年の米朝枠組み合意も、
2005年の核合意も
米朝両首脳がサインしたものではない。
だから簡単にほごにされてしまった」
と指摘。
トランプ氏に対し
「あなたと金正恩朝鮮労働党委員長がサインする文書を残してほしい。
重みがある」
と訴えたと説明した。
「非核化に向けて土台できた」
米朝両首脳の共同声明に CVID(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)が明記されていないとの批判には
「私も入れるべきだと思った」
とする一方、
「非核化に向けて土台を作ることはできた」
と評価した。
非核化に向け国際原子力機関(IAEA)が行う査察の費用について
「核の脅威がなくなることで平和の恩恵を受ける日本が負担するのは当然だ」
との認識を示した。
北朝鮮への直接的な経済支援については
「日本人拉致問題が解決されなければ行わない」
と明言し、核廃棄にかかる費用が必要な場合も
「北朝鮮に出すわけではなく、例えば機構をつくって進めていく」
と述べ、国際的枠組みを設ける可能性に言及した。
日朝会談「やみくもに行うのではなく…」
首相は金氏を「大きな決断ができる人物」と表現し、
「相互不信という殻をお互いに破って一歩踏み出したい。そして解決したい」
と述べた。
ただ、日朝首脳会談については
「やみくもに行うのではなく、拉致問題の解決に資する会談にしないといけない」
と慎重な態度も見せた。
河野洋平元衆院議長が拉致問題より国交正常化や戦後賠償を優先すべきだと主張したことに対し
「北朝鮮に大変なサービスをされている。
そういう発言は交渉力をそぐ。
大先輩だから、大変残念だ」
と述べた。
トランプ氏が言及した米韓合同軍事演習の中止については
「信頼を醸成するための善意」
とし、北朝鮮が非核化に向け迅速に行動することが重要だとの認識を示した。
同時に
「在韓米軍を縮小するということでもない。
日米の共同軍事演習なども今までのままだ」
と強調した。
「完全な非核化」まで経済制裁解除しない
米国務長官、日米韓外相会談で
2018.06.14
(www.bbc.com/japanese/44478503 )
共同記者会見に臨む河野外相、康韓国外相、ポンペオ米国務長官
マイク・ポンペオ米国務長官は14日、北朝鮮が「完全な非核化」を実現するまでいかなる経済制裁も解除しないと述べた。
ポンペオ長官はこの日、ソウルで日本の河野太郎外相および韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相と会談し、北朝鮮をめぐって協議を行った。
12日にシンガポールで行われた歴史的な米朝首脳会談で、ドナルド・トランプ米大統領と金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が署名した文書では、北朝鮮は「朝鮮半島の完全な非核化」に取り組むことに合意している。
しかしこの合意をめぐっては、北朝鮮側がいつどのように核を放棄するのか詳細が欠けているとの批判が出ている。
「揺ぎない同盟関係」
ポンペオ長官はシンガポールから韓国へ入り、米朝首脳会談の経緯と、トランプ大統領が突然発表した米韓合同軍事演習の停止について、韓国と日本側に説明した。
ポンペオ長官は共同記者会見で、米朝会談は二国間の関係にとって「分岐点」だったと話した。
また、非核化を段階的に行うことを米国が認めたとする北朝鮮の国営・朝鮮中央通信(KCNA)の報道を否定した。
その上で、米国は引き続き「北朝鮮の完全で検証可能かつ不可逆な非核化の達成を強く決意している」と述べた。
この文言は、トランプ氏と金委員長が交わした合意文章には明示されていない。
ポンペオ氏はまた、日米韓の同盟関係は「揺ぎないもの」だと述べた。
韓国と日本は、北朝鮮が敵視している米韓合同軍事演習を、両国の安全保障上必要なものだと主張している。
韓国の康外相は、米韓関係は「これまで以上に力強い」と話した。
また河野外相は、米朝首脳会談を「困難だが重要なプロセスの始まり」と説明し、3カ国で「連携を続けていく」と述べた。
北朝鮮は、激しい批判の的となってきた人権侵害や執拗なまでの核兵器開発のために、何十年もの間、間欠的な外交交渉を除いて、国際社会から孤立していた。
北朝鮮は米大統領との首脳会談が体制に正当性を与えるものとみて、長らく実現を目指してきた。
人権活動家からは、トランプ氏が人権問題で金氏を追求する姿勢を示さなかったことを失望視する声が上がっている。
トランプ大統領は13日、ツイッターに
「今到着した。
長い旅だったが、僕が就任した頃よりみんなはもっと安全を感じられるだろう。
北朝鮮による核の脅威はもうない。
金正恩との会談は面白く、とても前向きな経験だった。
北朝鮮には将来に向けた大きな可能性がある」
と投稿した。
米国務長官、日米韓外相会談で
2018.06.14
(www.bbc.com/japanese/44478503 )
共同記者会見に臨む河野外相、康韓国外相、ポンペオ米国務長官
マイク・ポンペオ米国務長官は14日、北朝鮮が「完全な非核化」を実現するまでいかなる経済制裁も解除しないと述べた。
ポンペオ長官はこの日、ソウルで日本の河野太郎外相および韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相と会談し、北朝鮮をめぐって協議を行った。
12日にシンガポールで行われた歴史的な米朝首脳会談で、ドナルド・トランプ米大統領と金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が署名した文書では、北朝鮮は「朝鮮半島の完全な非核化」に取り組むことに合意している。
しかしこの合意をめぐっては、北朝鮮側がいつどのように核を放棄するのか詳細が欠けているとの批判が出ている。
「揺ぎない同盟関係」
ポンペオ長官はシンガポールから韓国へ入り、米朝首脳会談の経緯と、トランプ大統領が突然発表した米韓合同軍事演習の停止について、韓国と日本側に説明した。
ポンペオ長官は共同記者会見で、米朝会談は二国間の関係にとって「分岐点」だったと話した。
また、非核化を段階的に行うことを米国が認めたとする北朝鮮の国営・朝鮮中央通信(KCNA)の報道を否定した。
その上で、米国は引き続き「北朝鮮の完全で検証可能かつ不可逆な非核化の達成を強く決意している」と述べた。
この文言は、トランプ氏と金委員長が交わした合意文章には明示されていない。
ポンペオ氏はまた、日米韓の同盟関係は「揺ぎないもの」だと述べた。
韓国と日本は、北朝鮮が敵視している米韓合同軍事演習を、両国の安全保障上必要なものだと主張している。
韓国の康外相は、米韓関係は「これまで以上に力強い」と話した。
また河野外相は、米朝首脳会談を「困難だが重要なプロセスの始まり」と説明し、3カ国で「連携を続けていく」と述べた。
北朝鮮は、激しい批判の的となってきた人権侵害や執拗なまでの核兵器開発のために、何十年もの間、間欠的な外交交渉を除いて、国際社会から孤立していた。
北朝鮮は米大統領との首脳会談が体制に正当性を与えるものとみて、長らく実現を目指してきた。
人権活動家からは、トランプ氏が人権問題で金氏を追求する姿勢を示さなかったことを失望視する声が上がっている。
トランプ大統領は13日、ツイッターに
「今到着した。
長い旅だったが、僕が就任した頃よりみんなはもっと安全を感じられるだろう。
北朝鮮による核の脅威はもうない。
金正恩との会談は面白く、とても前向きな経験だった。
北朝鮮には将来に向けた大きな可能性がある」
と投稿した。
【緯度経度】
トランプ・ウオッチに反省を
古森義久
2018.06.19
(www.sankei.com/world/news/180619/wor1806190017-n1.html )
拡大協議で米側からはボルトン大統領補佐官(右端)ら、北朝鮮側は金英哲朝鮮労働党副委員長(左から2人目)らが出席した=12日(ロイター)
米朝首脳会談の評価をめぐりトランプ政権と米国の主要メディアがまたまた激突した。
ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、CNN という反トランプの旗印を鮮明にしてきたメディアは
「北朝鮮の非核化に『完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)』を明記しなかった」
「共同声明は全体に具体性に乏しい」
さらには
「独裁者と対等に会い、人権を論じなかった」
といった非難を浴びせる。
トランプ大統領は
「フェイクメディアのいつもの無根拠の攻撃」
と一蹴し、
北朝鮮との「共同声明に記した『完全な非核化』(CD)は CVID を意味する」
と反論する。
マイク・ポンペオ国務長官も
「検証(V)を含まない完全な非核化などあり得ない」
と強調する。
同じ共和党でも穏健派のマルコ・ルビオ上院議員も
「大手メディアが
オバマ前大統領がキューバの残虐な独裁者ラウル・カストロ前国家評議会議長と会って握手したときは礼賛し、
トランプ大統領が金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と握手すると『危険』『愚か』と酷評するのは偽善だ」
と批判した。
「大手メディアは
1年前にはトランプ大統領が北に対して強硬すぎると非難し、
いまはソフトすぎると非難する」
とも指摘した。
メディアがトランプ政権の政策を論じ、激しく反対することは不健全ではない。
だがそのトランプたたきがニュース報道まで色を染めるとなると危険が伴う。
最近の「ボルトン外し」の日米での報道が典型例だといえそうだ。
結果として大きな誤報となったからだ。
日本の多数のメディアは5月中旬から6月冒頭にかけて
「トランプ大統領は国家安全保障問題担当のジョン・ボルトン大統領補佐官を遠ざけ、米朝首脳会談からも外すことを決めた」
という趣旨の報道を流した。
中にはその結果、「安倍官邸は真っ青」という解説まであった。
ボルトン氏は核拡散防止の専門家で2代目ブッシュ政権では国務次官としてリビアの完全非核化作業の中核となった。
北朝鮮核問題でも厳重な経済制裁と軍事手段提示を唱える強硬派である。
トランプ大統領に4月初め補佐官として起用されてから、北朝鮮非核化もリビア方式でと提唱してきた。
北朝鮮は激しく反発し、ボルトン氏を「人間のクズ」とまでののしった。
「ボルトン外し」報道はこの経緯からトランプ大統領が不興を示して側近から遠ざけ、北朝鮮核問題でもボルトン氏を外し、シンガポールでの米朝首脳会談にも連れて行かない、という趣旨だった。
ホワイトハウスはこれを全面否定した。
現実にはボルトン氏は米朝首脳会談で大統領のすぐ左隣に同席した。
大統領は会談後の記者会見でもボルトン氏の名前を再三挙げて、これまでも、これからも対北交渉は同氏とポンペオ国務長官に任せるのだという言明を繰り返した。
米朝首脳会談の直前のカナダでの先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)でも、ボルトン氏がトランプ大統領の最側近として背後に密着する写真が多数、流された。
「ボルトン外し」はフェイクニュースだったといえよう。
その情報源をたどっていくと CNN の
「トランプ大統領の北朝鮮への対応ではボルトン氏は脇へと外された」
という断定調の報道だった。
これほど明白な誤報を機に
日本側でのトランプ政権ウオッチにも
反省があってしかるべきだろう。(ワシントン駐在客員特派員)
トランプ・ウオッチに反省を
古森義久
2018.06.19
(www.sankei.com/world/news/180619/wor1806190017-n1.html )
拡大協議で米側からはボルトン大統領補佐官(右端)ら、北朝鮮側は金英哲朝鮮労働党副委員長(左から2人目)らが出席した=12日(ロイター)
米朝首脳会談の評価をめぐりトランプ政権と米国の主要メディアがまたまた激突した。
ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、CNN という反トランプの旗印を鮮明にしてきたメディアは
「北朝鮮の非核化に『完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)』を明記しなかった」
「共同声明は全体に具体性に乏しい」
さらには
「独裁者と対等に会い、人権を論じなかった」
といった非難を浴びせる。
トランプ大統領は
「フェイクメディアのいつもの無根拠の攻撃」
と一蹴し、
北朝鮮との「共同声明に記した『完全な非核化』(CD)は CVID を意味する」
と反論する。
マイク・ポンペオ国務長官も
「検証(V)を含まない完全な非核化などあり得ない」
と強調する。
同じ共和党でも穏健派のマルコ・ルビオ上院議員も
「大手メディアが
オバマ前大統領がキューバの残虐な独裁者ラウル・カストロ前国家評議会議長と会って握手したときは礼賛し、
トランプ大統領が金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と握手すると『危険』『愚か』と酷評するのは偽善だ」
と批判した。
「大手メディアは
1年前にはトランプ大統領が北に対して強硬すぎると非難し、
いまはソフトすぎると非難する」
とも指摘した。
メディアがトランプ政権の政策を論じ、激しく反対することは不健全ではない。
だがそのトランプたたきがニュース報道まで色を染めるとなると危険が伴う。
最近の「ボルトン外し」の日米での報道が典型例だといえそうだ。
結果として大きな誤報となったからだ。
日本の多数のメディアは5月中旬から6月冒頭にかけて
「トランプ大統領は国家安全保障問題担当のジョン・ボルトン大統領補佐官を遠ざけ、米朝首脳会談からも外すことを決めた」
という趣旨の報道を流した。
中にはその結果、「安倍官邸は真っ青」という解説まであった。
ボルトン氏は核拡散防止の専門家で2代目ブッシュ政権では国務次官としてリビアの完全非核化作業の中核となった。
北朝鮮核問題でも厳重な経済制裁と軍事手段提示を唱える強硬派である。
トランプ大統領に4月初め補佐官として起用されてから、北朝鮮非核化もリビア方式でと提唱してきた。
北朝鮮は激しく反発し、ボルトン氏を「人間のクズ」とまでののしった。
「ボルトン外し」報道はこの経緯からトランプ大統領が不興を示して側近から遠ざけ、北朝鮮核問題でもボルトン氏を外し、シンガポールでの米朝首脳会談にも連れて行かない、という趣旨だった。
ホワイトハウスはこれを全面否定した。
現実にはボルトン氏は米朝首脳会談で大統領のすぐ左隣に同席した。
大統領は会談後の記者会見でもボルトン氏の名前を再三挙げて、これまでも、これからも対北交渉は同氏とポンペオ国務長官に任せるのだという言明を繰り返した。
米朝首脳会談の直前のカナダでの先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)でも、ボルトン氏がトランプ大統領の最側近として背後に密着する写真が多数、流された。
「ボルトン外し」はフェイクニュースだったといえよう。
その情報源をたどっていくと CNN の
「トランプ大統領の北朝鮮への対応ではボルトン氏は脇へと外された」
という断定調の報道だった。
これほど明白な誤報を機に
日本側でのトランプ政権ウオッチにも
反省があってしかるべきだろう。(ワシントン駐在客員特派員)