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◆ (59) 第十章 ① 人口危機

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TWISTED SISTER ~ WE're Not Gonna Take It (1984)



パトリック・J・ブキャナン著
宮崎哲弥監訳
病むアメリカ、滅びゆく西洋
2002年12月5日 成甲書房

第十章 分断された国家



(1) 人口危機



4つの脅威のうち最も切迫した問題が人口危機である。



歴史的に見て権力と人口は必ずしも相関関係にはない。
わずか数百万人の英国が世界の 4分の1 を征服し、
小国ポルトガル、オランダが
国土も人口も自国の数倍はある大国
 ―― ブラジル、インド亜大陸、中国、アフリカ ――
を相次いで植民地化した。
とはいえ人口が権力の大事な要素であることも確かだ。
南軍は着々と兵力を増強したものの、
それでも北部人の数には遠く及ばなかった。
ドイツの人口膨張に対するフランスの過度の猜疑心も、
ヴェルサイユでその正当性を認められた。
ヒトラー・ドイツ軍はスターリン・赤軍に軍備では勝っていたかもしれないが、
8000万人の国が 1 億 9700万人の国を破るのには無理があった。
2億 9000万人のソ連だったら世界帝国さえ築けただろう。
だが老化が進む一方の今のロシア
 ―― 1 億 4500万人 ―― は
今の領土を維持できるだけで御の字だ。
いくら歴史をひもといても、
老いさらばえた国が領土奪還の憂き目に遭わぬ事例は
見つからないが。



「西洋の死」 はとうの昔に運命づけられていたのかもしれない。
米国史上最大の世代、ベビーブーマー世代 (1946 ~ 1964年生まれ) は
子孫を増やさずに子作りの年を過ぎた。
いちばん上の層 (55歳) の目はすでに老後に向いている。
ローンの支払いを済ませ、消費は控えて暮らそう、と。



すでに人口が減りはじめ少子高齢化の深刻なヨーロッパは、
増税と定年引き上げ、高齢者福祉費削減が必須である
 ―― あるいはあらたな労働者層を輸入するか。
おそらく両方実施することになろう。
怠惰な老人軍をサポートするために長時間労働を強いられ、
世代間の緊張が高まるに違いない。
さらにアラブ・アフリカからの大量移民で社会的緊張も高まる。
オールダムやリーズ、バーンリー、ブラッド・フォードの人種暴動、
エルエヒドでのスペイン人対モロッコ人の紛争、
パリでのフランス人とアルジェリア人の流血沙汰、
ドイツにおけるネオナチによる移民・トルコ人攻撃は
「長く厚い夏」 到来の前触れだ。
しかしヨーロッパが移民を拒み、
ヨーロッパ女性が子供を生むことを拒み続ければ、
大陸は見る間に老いさらばえる。



アメリカも同じ問題に直面している。
女性が子供は要らない、いても一人でたくさんと決意すれば、
大量移民か、日欧と同じ運命のいずれかを選択することになる。
しかしまだ間に合う
国民がアメリカの文化・文明を残したいと望むなら
出生率のアップが必須である。
100% 成功する保証はないが、
国家の基本方針として子育て支援策を設けることは可能だ。
なんといってもアメリカの永続以上に大事なことはないのだから



◍ 扶養手当の支給が認められるよう公民権法を改正する。
 それによって配偶者の一方が家で育児に専念えき、
 子供が鍵っ子になることもない。
 これは片親家庭にも適用する。



◍ 女性の復職支援策として、保育費減税の代わりに、
 子供1 人につき 3000ドルまで税額控除を増やす。
 これによって貧困家庭のみならず、子だくさん家族も
 所得税免除になる可能性がある。
 家で育児に専念するか否か、
 あるいはさらに子供を持つか否かは
 女性に選択させよ。
 労働者の数は足りている ―― 足りないのは子供の数だ。



◍ 扶養手当を支給する雇用主への優遇税制。
 一人の収入で大家族が安寧 (あんねい) に暮らせるよう、
 家族賃金制度の復活が必要。



◍ 家族経営の事業・農業に対する法人税の免除。
 ロナルド・レーガンが言ったように、
 法人は税を払わない、払うのは人間だ。
 企業は金を取り立ててばかりいる。
 法人税は 〈フォーチュン〉 売上上位 500社から徴収せよ。



◍ 500万ドル未満の家族事業、家族農場・農園に対する 「死亡税」 の即刻廃止。



◍ 以上の減税の穴埋めが必要な場合、
 新たな税収は消費税と関税に求める。
 輸入消費財が欠乏しても米国はなんら困らない。



現行社会政策税法には
フェミニズムカウンターカルチャー価値観が組み込まれいる
保守派はそれを除去せねばならない
自由社会は女性に出産を強いることはできないが、
子供を増やして社会に貢献する女性に報いることはできる。



20年間、共和党は 「供給側重視」 の立場でしつこく減税を説き、
その主張は正しいことが証明された。
 一般に減税は絶対的善である。
しかし事はより重大だ。
経済成長率がうんぬんというレベルではない。
われわれは今、国家・文明存亡の危機に立たされている



とはいえ、いくら子育ての経済負担を削減しても宗教の力にはかなわない。
なぜなら大家族は敬虔な信仰のもとに発生するものだから。
今日、米国白人層で最も高い出生率を誇るのは、
お察しのとおり ―― ユタ州である。


          ◇


  
◆ ユタ州 (モルモン教が起こった場所で、本部がある)


いやあ・・・
この本が書かれたのは 15年ほど前ですが、
世界の様相は、
ますます書かれてある状態が拡大してきていますね。


アメリカでは、是非とも、トランプ氏に大統領になってもらいたい。
そして、
メイフラワー号から 10年後の 1630年 (日本では徳川三代将軍家光の時代)、
イギリスの国教会に見切りをつけたピューリタンが
マサチューセッツ州のボストンに上陸し、
指導者ジョン・ウィンスロップがおよそ 1000人のピューリタンを前に、
「われわれは丘の上の町とならなければならない。
あらゆる人の目がわれわれに注がれているのだから。
もしわれわれが神から与えられた特別な任務を遂行できなければ、
主は決してわれわれをお許しにはならないであろう」
と説教した、
その “丘の上の町” を築いてほしいものです。


キリスト教国アメリカは、今、
公衆の前で讃美歌を歌うのでさえ気を使う国となっているのです。


オバマ大統領はアメリカがキリスト教国であることを否定し、
「あらゆる宗教の国である」 と宣言しました。
従って、特定の宗教をひけらかしてはならないのです。


それはもう、自由の国、アメリカではない。
国家でもない。
不自由で、逆差別がはびこる、
ただの広場。雑多な広場。


しかし、自由、民主主義といった言葉のワナは
日本にも張り巡らされて、がんじがらめになっていますね。


日本は “やおよろず (八百万) の神々の国” です。
だから特定の一つの神様ではなく、あらゆる神様や仏様が祀られています。
そして誰がどの神様にお参りしようと自由だった、国でした。


今はどうでしょうか?


          ◇


  
◆ 家族の力は取り戻せるか
(
http://natsunokoibito.blog.fc2.com/blog-entry-220.html )


つまり、安直に世界市民になったような気になれば
私たちは恐らく自分自身の個性を失うでしょう


(中略)

私たちは、アメリカの伝統と文化自身が、
この 「アメリカ化」 によって破壊されつつあることを、
本当に心配しています


(中略)

アメリカの伝統や宗教的な休日について、
学校で語ることができなくなってしまいました
。 
そんなことをすれば、
仏教徒やイスラム教徒が傷つくかもしれないからです
。 


そして、今回の (註: 2000年) 大統領選挙の候補者は 2人とも、
ラルフ・ネーダーではなく主要候補者 2人のことですが、
ペイン語を話さなければなりませんでした。 
わが国には、実に大勢のスペイン語系の有権者がいるからです。 
そして 2人のうちの 1 人は、非常にスペイン語が得意でした。 
つまりここには、沢山のアメリカ化があるわけです。 
しかし、それは実はグローバル化であって、
私たちの文化全体に影響を与えているのです
。 


しかし、ここで問題なのは
たちは何を保存したいと考え、何は変わってもいいと考えているかです。 



          ◇



目 次
(
http://hawkmoon269.blog.so-net.ne.jp/2016-08-15 )

日本版まえがき
序として

第一章 西洋の遺言
第二章 子供たちはどこへ消えた?
第三章 改革要項
第四章 セラピー大国はこうして生まれた
第五章 大量移民が西洋屋敷に住む日
第六章 国土回復運動
レコンキスタ
第七章 新たな歴史を書き込め
第八章 非キリスト教化されるアメリカ
第九章 怯える多数派
第十章 分断された国家
著者あとがき
監訳者解説



          ◇


  
TWISTED SISTER ~ WE're Not Gonna Take It (1984)

俺たちはそれを受け入れることはない
俺たちはもうそれを受け入れることはないんだ


俺たちにはそれを選ぶ権利がある
その権利を失うことなんてありえない
これが俺たちの人生であり
これが俺たちの歌なんだ


俺たちは正当に権力と戦う
俺たちの運命に触れないでくれ
おまえは俺たちのことを知らないし
おまえは俺たちの仲間ではないのだから


俺たちはそれを受け入れることはない
俺たちはもうそれを受け入れることはないんだ


おまえはとても偉そうで
おまえの図々しさは取りとめがない
俺たちはおまえからは何も欲しくはないんだ


おまえの人生は陳腐で疲弊していて
退屈だから没収される
もしもそれがおまえのベストだと言うのならば
おまえはベストを尽くせないんだ


俺たちは正しい
俺たちは自由だ
俺たちは闘う
おまえには分かるはず


俺たちはそれを受け入れることはない
俺たちはもうそれを受け入れることはないんだ


俺たちは正しい
俺たちは自由だ
俺たちは闘う
おまえには分かるはず


俺たちはそれを受け入れることはない
俺たちはもうそれを受け入れることはないんだ





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