Quantcast
Channel: PSYCHO COUNTRY
Viewing all articles
Browse latest Browse all 820

◆ 今や世界一の産油国・米国が原油輸出を40年ぶりに解禁

$
0
0


アメリカを読む
今や世界一の産油国・米国が
ついに原油輸出を40年ぶりに解禁 その狙いとは…

2016.01.10
(http://www.sankei.com/premium/news/160110/prm1601100007-n1.html )

2016会計年度の通年予算可決後、記者会見する共和党上院院内総務のミッチ・マコネル氏。共和党は、米国産原油の40年ぶりの輸出解禁を強く働きかけた=2015年12月18日、ワシントン(AP)
2016会計年度の通年予算可決後、記者会見する共和党上院院内総務のミッチ・マコネル氏。
共和党は、米国産原油の40年ぶりの輸出解禁を強く働きかけた=2015年12月18日、ワシントン
AP



オバマ米政権は昨年 (2015年) 12月 18日、議会による 2016会計年度 (2015年 10月~2016年
9月) の 『通年予算』 の可決にあわせて、「1975年から禁止されてきた原油輸出」 の 「解禁」 に
踏み切った

方針転換の背景にあるのは 「シェールオイルの増産という米国の経済的な事情」 と、「エネル
ギー
関係国に対する影響力行使の手段とするロシアなどへの警戒感」 だ。

米議会で共和党議員を中心に輸出解禁を求める声が強まるなか、民主党が要請する再生可能エネ
ルギーへの優遇策の継続などと一本化することで妥協が成立した。

米国産原油世界市場に出回ることで、石油輸出国機構OPEC加盟国など既存の輸出国
とのシェア争奪戦が激しくなりそうだ。


今や世界 1位の産油国


40年間におよんだ原油輸出禁止米国の雇用を犠牲にし、イランロシアのような輸出国の
力を強めている
」。

共和党の上院トップ、ミッチ・マコネル上院院内総務 (73) は予算可決直前の 12月 17日の声明で
原油輸出解禁の意義を訴えていた。


米国の原油輸出禁止のきっかけは、1973年に 「OPEC」 が 「第 4次中東戦争」 でイスラエルを
支持した米国の牽制 (けんせい) を狙って打ち出した原油減産や米国への原油輸出禁止だった。

OPEC の動きがガソリン価格の高騰などの 「オイルショック」 を引き起こしたことに対抗し、米国と
しても原油輸出禁止で米国産原油の国外流出を止めることで、米国内のエネルギー価格を安定させ
るとの期待があった。


しかし米国ではこのところシェールオイルの開発による原油生産量が急増し、「今や世界の原油
価格を左右するのは OPEC ではなく米国の生産者だ」 (業界関係者) との声が強まっている。

『米エネルギー情報局』 (EIA) によると、2014年の生産量は
1 日当たり 1400万バレルで、
OPEC の盟主であるサウジアラビアの 1200万バレル
抑えて世界 1 位だ。


しかも米国のシェールオイル生産企業にとっては、原油輸出禁止は経済活動の足かせとなってきた。

米国内の原油の在庫は戦略備蓄を除くベースで、12月 18日現在 4億 8500万バレル。

冬場としては 80年ぶりの高水準にあり、シェールオイル生産企業からは 「米国内で余っている原油
を世界市場に輸出したい」 との要望が出ていた。


価格下押しで露に打撃


こうした業界の要望と歩調を合わせるかたちで原油輸出解禁を後押ししたのが、「ウクライナ東部に
事実上の軍事介入を行ったロシア」 や 「核開発への疑惑が拭えないイラン」 への警戒感だ。

マコネル氏は声明のなかで、「ロシアがエネルギー資源を外交政策のツールとし、イランがエネルギ
ー資源を国力の重要な構成要素だと考えていることは秘密でも何でもない」 と指摘。

米国が原油輸出を解禁するのは、国際市場の原油価格に下押し圧力をかけることで、原油輸出国で
あるロシアやイランの経済にダメージを与える狙いもあるというわけだ。


実際、欧州の原油指標である北海ブレント原油先物相場は 12月 21日、一時 1バレル= 36.05ドル
をつけ、約 11 年半ぶりの安値となった。

米国の原油輸出解禁により、世界的な供給過剰感が一段と強まったためだ。


また 12月 21日のニューヨーク市場でも原油先物相場が急落し、指標である 『米国産標準油種』
(WTI) は一時 1 バレル= 33ドル台と、約 6年 10カ月ぶりの安値水準となった。


ロイター通信によると、ロシアのアレクサンドル・ノバク・エネルギー相 (44) は 12月 24日、「米国は
依然として原油の輸入国であり、米国の原油輸出解禁は国際市場に影響を及ぼすべきではない」 と
市場を牽制し、原油安の余波を食い止めようと躍起になっている。


激化するシェア争奪戦


ただし米国が原油輸出を解禁しても、すぐに買い手が見つかるとは限らない

経済減速のなかでも原油輸入を増やしている中国は米国企業にとって有力な市場といえるが、すで
中国の輸入60% を供給する OPEC 加盟国による長期契約で固められている

アナリストからは 「 OPEC はそう簡単には中国市場を米国企業に譲らない」 として、価格競争の激化
を予想する声もあがる。


OPEC など伝統的な産油国米国すでに世界市場を舞台にシェア争奪戦を展開しているが、
「米国産原油」 という新たな商品が市場に出回ることで、双方のせめぎ合いは新たな局面に入りそう
だ。(ワシントン支局 小雲規生)



Viewing all articles
Browse latest Browse all 820

Trending Articles