SHINEDOWN ~ Asking For It (2015)
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SHINEDOWN 『THREAT TO SURVIVAL』 (2015.09.18)
(Amazon )
パトリック・J・ブキャナン著/河内隆弥訳
超大国の自殺
―アメリカは2025年まで生き延びるか?―
2012年11月5日発行 幻冬舎
第6章 平等か、自由か?
状況の平等ということは文明と相容れない。――ジェームズ・フェニモア・クーパー
平等のユートピアは、生物学敵に終わりを告げた。――ウィルおよびアリエル・デュラント (1968年)
不平等・・・は、人間の生物学的本質に根ざしている。――マレイ・ロズバード (1973年)
「われらは以下の自明なものと見なす、すべての人間は平等につくられている ―」 と書いたのはジェファーソンである。
もっとも多く引用される英語の名文の一つである。
1863年のゲティスバーグの戦場で、リンカーンはジェファーソンの言葉を想起させた。
「87年前、われわれの父祖たちは、自由の精神にはぐくまれ、人はみな平等につくられているという信条にささげられた新しい国家をこの大陸に誕生させた。」
われら市民の宗教的感情として、この言葉は聖典となっている。
※ 《トーマス・ジェファーソン (1743年 4月 2日 ― 1826年 7月 4日)》
(Wikipedia ) より
・ 第 3代アメリカ合衆国大統領 (1801年 ― 1809年)
・ アメリカ独立宣言 (1776年) の主要な作者であり、アメリカ合衆国の共和制の理想を追求したことで最も
影響力のあったアメリカ合衆国建国の父の一人とされている。
・ 共和制を推進し、イギリスの帝国主義に対抗する偉大な 「自由の帝国」の陰にある力として、アメリカの
姿を描いた。
・ 首都・ワシントン D.C. で就任演説を行った最初の大統領である。
バラク・オバマは就任式で祈った、「時はきたれり・・・世代から世代へ受け継がれてきたこの貴重な贈りもの、高貴な思想 ― そして、みなが平等である、みなが自由である、みなが完全な幸福を追求する権利を持つ、という神の与え賜いし約束を前進させる時が」。
アメリカ人は、自分たちが、血縁、地縁によって結びつけられた国民ではなく、思想によってつくりあげられた、「信条的な国民」 ないし 「イデオロギーの国民」 である、と教えられてきた。
われわれは特別な国民である、とアメリカ人は思っている。
アメリカは誕生のときから国家の存在目的を、われわれ自身と全人類のために、平等と民主主義の発展にささげることにある、とアメリカ人は考えているのである。
リンカーンは、1776年以来わが国は、「人はみな平等につくられているという信条にささげられてきた」 と語った。
子どもたちもそのように教育されている。
アメリカが、平等、民主主義、多様性を守っている、守ってきた、という信念に、疑問など抱こうものなら、それだけでアメリカ人ではないと非難される。
しかし、アメリカの歴史のその解釈は、『アエネーイス』 (訳注: 古代ローマの詩人、ウェルギリウスの著した叙事詩)、トロイ滅亡から生き残った英雄が地中海をさまよったのち、ローマ建国の父となった、という話と同じくらいの一大神話である。
現代の平等主義者たちの唱える、すべてのものの平等は、建国の父たちのビジョンとはまったく異なるものである。
まさしく、その点がこの章の狙いであるが、アメリカはユートピアの実現をめざしてイデオロギーの十字軍を出航させたが、それは必ず失敗する。
そしてその過程で国は滅びてゆくだろう。
(1) 建国の父たちの信じていたもの
建国の父たちは民主主義を信じてはいなかった。
かれらは多様性を信じていなかった。
平等を信じていなかった。
ジェファーソンが起草し父たちが署名したもの、理想と抱負のもと、かれらの信じる唯一の平等とは、神の与え賜うた権利の平等のことである。
「われらは以下の諸事実を自明なものと見なす。すべての人間は平等につくられており、創造主によって生存、自由、そして幸福の追求を含む、侵すべからざる権利を与えられている」。
ジェファーソンは書いた、これらの権利を守るために政府がつくられる、と。
しかし、権利の擁護に失敗すればその存在は違法なものとなり、人々は立ち上がってその政府を打倒し、たがいの合意のもとに新しい政府を樹立する権利を保有する。
これらの権利を確実なものにするために、被統治者の合意による正統な権力のもとに 「政府」 という機関が
つくられる ― いかなる形態をとろうと、政府がこの目的に対して破壊的な存在となるのであれば、人々は、
この政府を改編するか、廃止して新しい政府を樹立する権利を持つ。
これは人類をまことに鼓舞する思想である。
ジェファーソンの、「全ての人間は平等につくられている」 というところだけを取りだして、平等社会の保障である、ときめつけるとすれば、ジェファーソンの真意とフィラデルフィアに集ったものたちの信念を曲解することとなる。
これが独立宣言であることを忘れてはならない!
建国の父たちは、宣言の最後のところで、自分たち、ならびに独立戦争がどういう意味を真に示しているかを世界につたえている。
それゆえ、アメリカ連合諸州の代表は、連合会議に相集い・・・ これら植民地の良き人民の名と権威のもとに、
厳粛に以下のことを公けに明らかにし、かつ宣言する。
これら連合植民地は、自由にして独立な国家であり、また正当にそうあるべきこと。
またそれら諸州は、英国の王冠に対する忠誠義務からすべて解放されていること。
そして諸州とグレート・ブリテンの間の政治的つながりのすべてが解消されていること。
父たちをヒーローとしたものは、平等の権利についてのジェファーソンの言葉ではない。
力点は、イワン雷帝なみの暴君に対する辛辣な告発にあり、アメリカ人はもうこれ以上その暴君に忠誠を誓う必要はない、と宣言したところにある。
1776年の男たちは、イギリスの統治を転覆するため、命、財産、栄光をささげたのである。
この反逆行為のために多くのものが、生命と財産を支払うこととなった。
誕生のときから、アメリカは自由の味方だった。
一方、エガリテ (平等) は、フランス革命の標語だった。
アメリカが平等のために戦うことはなかった。
それは戦後の宣伝文句にすぎない。
1812年の戦争は、当時の一大専制君主、ナポレオン・ボナパルトと事実上組んで、議会主義の母国を相手に戦ったものである。
それは市民の権利の擁護と、カナダの支配をめぐって戦われた。
1835年 ― 1836年のテキサス戦争は、独裁的な、カソリック・メキシコからの独立のための戦いだった。
一つの星の共和国 (テキサス共和国) を北米における二番目の奴隷制保持国として独立させた戦争を、どうすれば平等のための戦いだったといえようか?
インディアン戦争を平等のための戦いというものはどこにもいない。
それは征服と制圧の戦争だった。
リンカーン自身の言葉から理解できるだろうが、南北戦争は、連合を回復するための戦争だった。
米西戦争は、メイン号撃沈の報復と、キューバからスペイン人を追い出すために戦われた。
この戦争は、プエルト・リコ、ハワイ、グアム、フィリピンの併合で幕を閉じた。
フィリピンで、われわれは、自由と独立についてわれわれを信頼したフィリピン人を裏切ると言う、米国史でもっとも不正な戦争を戦った。
第一次世界大戦は 「世界を安全に、かつ民主主義で覆う」 ための戦争ではなく、カイザーのドイツを潰す戦争だった。
わが国は、ドイツの U ボートが軍用物資をイギリスに運ぶアメリカ商戦を沈没させはじめるまで、宣戦布告をしなかった。
のち、5つの帝国、イギリス、フランス、ロシア、日本、イタリアとともに 「連合国家」 として参戦した。
終戦後、ドイツとオスマン帝国、およびそれらの数百万の従属民は ― ウッドロウ・ウィルソンの掛け声のもと、先勝した諸帝国のなかに分断された。
第二次世界大戦について、日本がわが国を攻撃し、ヒトラーがわが国に宣戦布告してくるまで、開戦しなかったアメリカが、民主主義のために戦っていたといえるだろうか?
わが国の同盟国のなかで最大の戦闘を行って最大の戦死者を出したのは、スターリンのソビエト連邦である。
開戦のとき、スターリンはヒトラーのパートナーだった。
この暴君の戦前の犠牲者は、ヒトラーの 1 に対して 1000人の多きを数えた。
ハンブルグ、ドレスデン、広島、長崎は、日本とドイツに民主主義をもたらすための惨禍だったのか。
単に第三帝国と日本帝国を絶滅することが目的だったのではないか?
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◆ 意外なところから 「フランクフルト学派」 を理解する (^^;
(http://hawkmoon269.blog.so-net.ne.jp/2015-12-16 )
☆ 片岡義男著 『音楽風景』 より
☆ ワッツの暴動
☆ ブラックパンサー党
◆ 超大国の自殺
★ 国家とは何ぞや?
(http://hawkmoon269.blog.so-net.ne.jp/2015-12-20 )
★ 超大国の自殺 ☆ 概要 (上)
(http://hawkmoon269.blog.so-net.ne.jp/2015-12-20-1 )
★ 超大国の自殺 ☆ 概要 (下)
(http://hawkmoon269.blog.so-net.ne.jp/2015-12-21 )
◆ ここでもう一度、フランクフルト学派 (トロイの木馬革命)
(http://hawkmoon269.blog.so-net.ne.jp/2015-12-21-1 )
第6章 平等か、自由か?
( 1) 建国の父たちの信じていたもの
( )
( 2) アメリカは平等に関心を持っていたか?
( 3) マディソン氏の沈黙
( 4) 「われわれは・・・かれらを平等にはあつかえない」
( 5) 平等について――昔と今
1963年 ― 「自由の鐘をならせ」
1965年 ― 「自由だけでは充分ではない」
( 6) 「不平等こそ自然である」
( 7) ドードー
( 8) 試験の点数を平等に
( 9) 試験成績における世界のギャップ
(10) 異端者の火刑
(11) 政治的兵器としての平等
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◆ 超大国の自殺 (1) 建国の父たちの信じていたもの
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