リトアニア首相
日立製の原発「最高の品質」と強調
ロシアからのエネルギー依存脱却目指す
2012.09.21
(http://sankei.jp.msn.com/world/news/120921/erp12092122540003-n1.htm )
インタビューに応じるアンドリュス・クビリウス首相
=9月19日、リトアニア・ビリニュスの政府庁舎
東京電力福島第1原発事故後、初の日本メーカーによる原発新設計画が進むリトアニアのクビリウス首相が、首都ビリニュスの政府庁舎で産経新聞のインタビューに応じ、発注する日立製作所の改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)について
「最高の品質が保証されている唯一の原発だ」
と安全性を強調、今後も原発計画を推進していく強い意欲を示した。
リトアニアでは同計画の是非を問う国民投票が10月14日に実施される。
リトアニアは、電力の60%以上をロシアからの天然ガスによる火力発電に頼る。
ロシアへのエネルギー依存体質を脱却するため、2006年から原発を建設する計画を立ち上げ、今年6月に国会が、日立と契約することを承認した。
クビリウス首相は、福島の事故後もフィンランドやポーランドなどで原発計画が進行中であることを例に挙げ、
「どの国も、自国の経済を発展させるためにどんな電力供給源がよいかは自ら選ぶことができる」
と指摘。
エネルギー資源を有しないリトアニアは、「脱原発」を進める状況にはないことを強調した。
首相はまた、2030年代までの原発稼働ゼロを模索する日本の議論を注視しているとしつつ、ゼロ政策はあくまでも長期展望にすぎず、日立との契約や自国の原発計画には影響を及ぼさない考えも示した。
その一方で首相は、リトアニア国境と数十キロ以内の場所に建設される予定のロシア・カリーニングラード州とベラルーシでの原発計画について、
「これらの(ロシア企業が建設する)原発は安全性について国際基準を満たしていない上、ロシアとベラルーシ政府は欧州基準のストレステストも実施していない」
として深い懸念を表明した。
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【リトアニアの原発計画】
リトアニアでは独立直後の1990年代、ソ連が建てたチェルノブイリ原発と同型のイグナリナ原発が稼働していた。
しかし2004年、欧州連合(EU)への加盟条件として、同原発を閉鎖。
それ以降、ロシアからの天然ガス輸入に依存し電力料金が値上がりしたため、政府は新原発の建設計画を推進、2011年7月に日立が優先交渉権を獲得した。
ただ、リトアニアでは原発計画への慎重意見も多く、10月14日に国会選挙とともに、原発計画の是非を問う国民投票を行う。
賛否は相半ばしているとみられる。
リトアニアの首都ビリニュス
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(1641) 日本の原発技術(その1)リトアニア
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