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(871) 【失ったものの大きさ】中国にらみ日米印協力を緊密に

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【失ったものの大きさ】







麻生太郎 2009年6月19日 イラク/ホーシヤール・ズィーバーリー外相












中国にらみ日米印協力を緊密に
杏林大学名誉教授・田久保忠衛
2011年1月17日

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110117/plc11011702510005-n1.htm.



1900年の義和団の乱が発生した際、「ロシアの脅威」に日本人がいかなる緊張感を抱いたか。
それは、旧制第一高等学校の寮歌の一節、
「アムール川の流血や凍りて恨み結びけん 二十世紀の東洋は怪雲空にはびこりつ」
に、はっきりと表れている。
昨年12月に1週間、インドの戦略家らと意見交換して一致した認識は「中国の脅威」だった。
21世紀のアジアには、まさしく怪雲が重苦しく覆いかぶさっていると思う。
尖閣諸島沖で、中国漁船に海上保安庁の巡視船が衝突された事件で惨めな敗北を喫しながら、まだ中国に媚態(びたい)を示そうとする日本の政治家たちには、理解の外だろう。



2005年に、当時のロバート・ゼーリック米国務副長官は、中国に、「責任ある利害共有者」になってほしいと呼びかけ、中国の大物スポークスマン鄭必堅氏は、「平和的台頭」を心がけるとすぐ応じた。
が、その後、中国はいかに行動したか。
韓国、日本、ベトナムなどのA、SEAN(東南アジア諸国連合)諸国、インドにとり、中国は「無責任な利害共有者」であり、「危険な台頭」を試みていることが明白になってしまった。



≪国際秩序維持者はなお米国≫



国際秩序維持に重要な役割を果たす国は、依然、米国である。
イラク、アフガニスタンからの撤兵を公約、NATO(北大西洋条約機構)からもなるべく手を引きたいと考えている米国は、小規模ながら孤立主義に戻って当然だが、オバマ大統領をはじめ政府高官は、米国太平洋国家である繰り返し宣言してきた
米国衰退論を説く向きもあるが、あくまでも「相対的衰退」であって、国際秩序維持者の地位は、揺らいでいない。



米リベラル系論客で、国家間の緊張は外交を中心にソフト・パワーで解決すべしと主張してきた、ジョセフ・ナイ・ハーバード大教授も、
「米国は世界の人口の5%だが、世界のGDP(国内総生産)の25%を有し、世界の総軍事支出の50%近くの責任を持ち、文化、教育面では最も広範なソフトパワーの源泉だ」
と胸を張る。
国際常識を裏切る中国に反省を求めるには、米国を主とした、民主主議諸国の意思を、明確に示すほかにない



日本の安全保障上の主たる関心事は、歴史的に朝鮮半島であり、いま、北朝鮮には何かが起きる時期が迫っている。
東シナ海と南シナ海も、きな臭い。
ここにインドが加わる。
私は国家基本問題研究所(櫻井よしこ理事長)の一員として、ニューデリーで、シブシャカル・メノン首相補佐官(国家安全保障担当)ら政府高官や、インド世界問題評議会(ICWA)など、シンクタンクの多くの研究者とじっくり話し合った。
唯一、最大のテーマは、「中国の脅威」だった



≪G2論どころか最大の脅威に≫



インドの対中スタンスは、経済面で関係をますます強める一方で、安全保障面上の警戒心は怠らない、に尽きる。
インドが中国を危険視する背景には、
(1)潜在敵国のパキスタンと、北朝鮮の核を操作しているのは、中国だ
(2)アルナチャルプラデシュ州をめぐり、中国と領土紛争が続く
(3)中国が、同州を流れるブラーマプトラ川の上流にダムを造ろうとしている
(4)カシミールの領有権問題で対立するパキスタンの、肩を持つ
(5)インド洋に面する諸国の港湾建設に名を借りて、中国が形成しつつある、「真珠の首飾り」は、中、長期的に大きな脅威になる
といった事情がある。



日本、朝鮮半島、ASEAN諸国、インドの、巨大な弧と、中国との間に、激震が走るかもしれない。
戦略家として著名な、インド政策研究センターのブラーマ・チェラニー教授は、
「日印米が緊密に協力すれば、中国の選択肢は限られる」
と明言する。
ブッシュ前政権以降の米政権は、インドと、条約上の義務のない緩やかな同盟関係を構築しようとしているようだ。



アジア第三の大国であるインドは、中国の後を追って、平和的な台頭をしている
日印両国は、安全保障面でも協力できないはずがない。
インド海軍は軍艦155隻を保有し、2015年までに、空母2隻、原子力潜水艦3隻を持つ。
20年前、時の鈴木善幸首相自ら、「シーレーン1000カイリの防衛力強化」を約束した
日本の海上自衛隊インド海軍は、一層の協力ができるはずだ



≪危機に強い指導者出でよ≫



アジアにおける冷戦後の国際秩序は、大きく動き始めた。
ただ、主要なプレーヤーである「米中両国の関係」にだけは無関心ではいられない
わずか1年前まで、米国内には 国際秩序を両国で取り仕切ると言わんばかりの「G2論」がまかり通っていた。
世界の意表を突いて訪中発表が行われた、1971年のニクソン・ショックも念頭に置いておかなければならない。



世界の大勢に、周到な目配りのできる日本の政治家は、誰か。
極度の政治不信に陥りながらも、私はリーダーシップを持った政治家の登場を期待する。
日本が生存できるかどうか、戦後最大の危機が訪れたと考えるからだ
(たくぼ ただえ)











 
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